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なな ページ9

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「大丈夫だよ、君には人間としての心があるから」


「…」




全く困った素振りも動揺も見せずに、平然として私を受け入れて下さる耀哉さん。両親の死を知らせた時は「辛かっただろう」と優しく声を掛けて下さった


彼の声音は何処か安心感があって、まだ少し混乱状態(パニック)だった私の心が落ち着いて、また涙が出てきてしまった


直接会えて、言葉を貰えて、鬼を受け入れてもらって、本当に安心した






「実は、鬼になっても人を喰わずに生きている子がいるんだ。言葉は喋れないけどね。…君は独りじゃないよ」




他にも、私のような鬼が…?



一気に緊張感が抜け、身体が柔らかくなる




独りじゃ、ない







それと同時に疲れが流れ込む。鬼なので身体的には疲れないが、精神的に来たものがある





「ありがとうございます」



「疲れているようだね。休んだ方がいい。義勇、彼女を蝶屋敷に連れて休ませて欲しい」


「御意」




蝶屋敷…?鬼殺隊の中の診療所みたいな所なのかなと想像していると、義勇さんに行くぞ、と言われる


慌てて立ち上がると、彼は一瞬で姿を消した。多分私が人間だったらその動きに追いつけていないだろう。ただ鬼になった今、全ての感覚が発達したため動体視力が格段に上がり、彼の動きを捉えた

脚力も上がり、力一杯踏み込むだけで簡単に義勇さんに追いつくことが出来た





「わっ」



「…」




慣れない感覚に戸惑ったが、目の前に居る義勇さんに追いつくことだけに必死になった









***




蝶屋敷




「ここで休め」


「ありがとうございます」





ぐったりした様子は見えないが、精神的に疲れているであろうAを蝶屋敷の空いた部屋に案内した。彼女は一直線に寝台へ向かう




…まさか、あそこまで簡単に俺の動きを捉えるとは。鬼になったばかりとは思えない。与えられた血の量が多いのか?



疑問を持ちつつ、寝台で直ぐに寝息を立て始めたAに掛け布団をかけてやる。髪飾りを付けたまま寝ているが、外した方がいいのだろうか



髪飾りに触れる。十数年も前に贈ったというのに、綺麗で色褪せていない。どれほど大切にしていたかよく感じられる





………







記憶が無いのは、寂しいな




「…A」





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miyui(プロフ) - 続きが気になる!更新頑張って下さい! (2021年12月25日 23時) (レス) @page20 id: f42f8a7275 (このIDを非表示/違反報告)
Sui(プロフ) - orangeさん» ありがとうございます。 (2019年10月23日 21時) (レス) id: 53e4bbf2a1 (このIDを非表示/違反報告)
orange(プロフ) - とっても儚くて素敵なお話だと思います!更新頑張ってください! (2019年10月21日 17時) (レス) id: 39433c79c4 (このIDを非表示/違反報告)
Sui(プロフ) - さといも。さん» ありがとうございます (2019年10月18日 21時) (レス) id: 53e4bbf2a1 (このIDを非表示/違反報告)
さといも。 - あ、まってすきです (2019年10月15日 20時) (レス) id: 3b980f9a32 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Sui | 作成日時:2019年10月1日 19時

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