はじまりはじまり ページ1
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「…うぅ」
「どうしたの?」
「…人が、多くて…」
どうやら街の人混みに酔ってしまった小さな少年_____冨岡義勇は、道の端でしゃがみこんでいた
そんな小さな少年の姿に声をかけたのは、可愛らしい小さな少女_______一ノ宮A
「あそこなら人はいないよ」
そう言って義勇の手を引いて歩き出すA
彼女が来ている着物は年相応で可愛らしく、幼い義勇でも分かるぐらい質が良い
「ここなら大じょうぶ」
「あり、がとう」
「あ、キャラメルあげる」
「え…あのきゃらめる?」
Aの手には小さなキャラメルが乗っていた。高価で、一粒が大福一個分と同じ値段である。無論、庶民には手が届かない代物
「これ、たかいんじゃ…」
「おうちにいっぱいあるから」
この言葉に驚愕し、Aは良家で生まれたと確信する義勇
Aからキャラメルを受け取り、それを口に含ませる義勇。思っていたより甘かったのか、少し顔を顰めた。しかし、貰えたことの方が嬉しかったのか直ぐに笑顔になった
「…」
「おいしかった?」
「うん。…これ、あげる」
「?」
義勇から差し出されたのは、とある髪飾り。しかしそれには花などは付いておらず、1番上の球体部分から可愛らしい色の布が程よく出ていて、その中にはシャラシャラと音が出る金属が入っているような物だった
Aはそれをなんの躊躇いもなく手に取る
「すごくふしぎなかみかざり。でも、かわいい」
「…お姉ちゃんから、二つあるからあげるってもらったものだけど…おれいってことにする」
そう言い、髪飾りをAの髪につける義勇。歩く度にシャラシャラと鳴り、Aはこれが大層気に入った様子
「どうっ?」
「…っ、うん、にあってる」
(…つた子お姉ちゃんからは、お守りか、いつか好きな人が出来たときにでもわたしなさいっていわれたけど…)
「ありがとう!」
満面の笑みを浮かべるA。その笑顔に、少年だった義勇の心はいとも簡単に掴まれてしまった
これが、最初で最後の冨岡義勇の恋
これが、完全記憶能力を持つ一ノ宮Aが''鬼''になって
_______唯一思い出すことが出来なかった出来事
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miyui(プロフ) - 続きが気になる!更新頑張って下さい! (2021年12月25日 23時) (レス) @page20 id: f42f8a7275 (このIDを非表示/違反報告)
Sui(プロフ) - orangeさん» ありがとうございます。 (2019年10月23日 21時) (レス) id: 53e4bbf2a1 (このIDを非表示/違反報告)
orange(プロフ) - とっても儚くて素敵なお話だと思います!更新頑張ってください! (2019年10月21日 17時) (レス) id: 39433c79c4 (このIDを非表示/違反報告)
Sui(プロフ) - さといも。さん» ありがとうございます (2019年10月18日 21時) (レス) id: 53e4bbf2a1 (このIDを非表示/違反報告)
さといも。 - あ、まってすきです (2019年10月15日 20時) (レス) id: 3b980f9a32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Sui | 作成日時:2019年10月1日 19時