7−本能ってやつ。 ページ8
俺は車両の移動に迷った。
でも降りる駅まで結構長いし、
おばさま達の会話も別に聞きたくないし・・・
「・・・よし」
隣の車両へのドアに手を掛けた。
別に隣とも違う車両に行けばいい話なのだが、どうやら本能的にそう動いてしまったらしい。
隣の車両に足を踏み入れる。
気づいてないふり、気づいてないふり。
そうは思ったものの、「本能的に」向かいの席に座ってしまった。
俺は気づいた。
急に隣の車両からやって来て正面に座るようなやつがいてみろ、あちら側からしたらただのキモイやつじゃねえか。
多少後悔しながらも、顔に出ないよう平静を装う。
ああ、もうさよならなのか?
俺の青春よ・・・・
そんなことを考えていても、
本能には逆らえない。
ついつい見ちまうだろ・・・
あの子の顔をチラ、と見る。
目が合う。
け、計算ミス・・・!
バレてないと思ったのに?!
とりあえず俺は、できるだけ変に思われないように軽く笑いかけた。
その子は耳まで真っ赤にさせてうつむいてしまった。
やべ、可愛い。
あの子はすっかり下を向いてしまった。
顔が赤いのを隠すためか、
たまに意味もなく前髪をいじる姿の破壊力といったらもう。
ふと足を見る。
あれだけ外で運動しているのにも関わらず真っ白な足は、
黒いハイソックスのおかげでさらに際立つ。
ああ、あんなに短いスカートで・・・色々心配だ・・・
・・・やめるんだ変態性魔獣キヨ・・・!
俺はもっと他に心配することがあるだろうが、
心臓の音が聞こえてないかなんて心配しながら
降りる駅までの時間を過ごした。
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作者名:ねふ | 作成日時:2017年3月27日 0時