1人の姫と双つの黒の怪奇譚【文豪ストレイドッグス】-青の時代

・運命共同体・ ページ2

＿＿＿…

鴎外｢これは…どうにもならないねぇ…｣



お父さんが情けない声をあげる｡
隣ではお母さんも何か考え込んでいる｡



鴎外｢密輸銃の納入期限が二週間も過ぎてる｡それじゃあもうじき､部下は全員キッチンナイフで敵と戦う羽目になるよ｣


美夜｢それだけじゃないですよ｡市警が出動した案件が今月中にもう三件起きています｡末端構成員が制御しきれなくなっていますね｣


鴎外｢保護ビジネスの契約解除､他組織との抗争激化｡縄張りの縮小｡

困ったねぇ…首領になってから一年､問題が山盛りだ｡組織の頂点に立つのがこれほど大変とは…ひょっとして向いてないのかなあ？

どう思う､太宰君､Aちゃん｡

私の話聞いてる？｣


太宰/A｢聞いてますん｣


美夜｢それはどっち？｣



私と一緒にお父さんの問いに答えたのは包帯だらけの少年＿太宰治｡

私より4つ上で､去年､自 殺失敗したところを此処に運ばれたらしい｡



太宰｢だって森さんの話､いつも退屈なんだもの！｣


｢同じく｡

ここ最近ずーっとお経のようにお金がない､情報がない､部下からの信頼がない｡

最初からわかってた事でしょう？｣


美夜｢…ごもっともね｣


鴎外｢そりゃそうなんだけどねぇ…

ところで太宰君｡何故君は薬品庫にある高血圧の薬と低血圧の薬を混ぜているのかね？｣


太宰｢え？まとめて飲んだら何か凄い事が起こって楽に死ねるかなと思って｣


森｢死ねません！

Aちゃんもなんで見てて止めないの？！｣


｢どうせ死なないし面白そうと思って｣


鴎外｢全く､どうやって薬品庫の鍵を開けたんだ？｣


太宰｢やだやだ､死にたい！

詰まんないから死にたい！なるべく楽に死にたい！森さんなんとかして！｣


鴎外｢大人しくいい子にしていたら､そのうち薬品の調合法を教えてあげよう！｣


｢…嘘っぽ｣


太宰｢ほんとAの言う通り！

そう言って一年前にあれだけ大変な思いさせといて､結局教えてくれないじゃあないか！こうなったら裏切って敵組織についてやる！｣


美夜｢はぁーい､太宰くん落ち着いて｡

裏切ったら楽に死ねなくなるよ｡

そもそも鴎外さんがあんな事吹き込むから…｣


鴎外｢仕方ないだろう…？｣


太宰｢ああ…退屈だなあ｡この世界はなんて詰まんないんだろう｣



治はお父さんやお母さんの部下ではない｡そもそもマフィアでもない｡

養子でもなく､医療助手でもない｡


当てはまるとすれば＿＿私たち3人…正確にはお父さんと治は


運命共同体_


と言うべきだろうか


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