case2 第四章 ページ34
Aside
冷たい。それが目を覚ました瞬間の感覚だった。寝起きでなかなか目が開かず、手探りで頬に触れると、濡れていた。
だんだん意識がはっきりして、目も冴えてくる。自分が、見ず知らずの場所にいることに気づいた。
薄暗く、水滴の音が反響する倉庫みたいな場所。
自分は、どうしてこんな場所で、眠りについていたのだろう。自分が眠っていたことはわかるが、いつ眠りに着いたのか、そして今が何時なのかの検討もつかない。
一切外の光は見えないため、もしかしたら夜なのかもしれない。もしくは、ここは室内で、外の光が入り込んでいないだけなのかもしれない。
視界が完全に冴えると、今の状況も分かってきた。
手をロープで縛られ、口もガムテープで塞がれている。息をするのが難しいことも相まって、精神的に追い詰められた気持ちになる。
自分が刑事という身分だからか、はたまた関係ないのかはわからないが、この状況にはおおよそ見当がつく。間違いなく、誘拐か何かだろう。それも、Sによる。
しかし、自分がここにくるまでの記憶は全くない。自分が刑事で、異犯のメンバーだということは分かる。
でも私、なにしてたんだっけ……。
ここで、自分を取り巻く異常に気づく。
自分が異犯だということは分かっているのに、まるで実感がない。自分は、Sの関与する事件を担当する刑事だ。でも、自分はどんなことをやってきたんだろう。
どんな人と、何を頑張ってきたのだろう。
わからない。その答えは頭の中にあるはずなのに。
「起きた？」
突然背後から聞こえた低い声に、体が震える。恐怖のあまり、振り向く勇気がでない。
でも、知りたい。
私をここに連れてきたあなたは、誰……。
恐る恐る振り返ると、そこには正門さんがいた。この顔、この声。正門さんで間違いない。
「起きてたんや。おはよう」
正門さんはニコリと爽やかな笑みを浮かべると「苦しいやんなぁ」と言って口を塞いでいるガムテープをベリッと剥がした。少し口元がヒリヒリと痛む。
「痛かったなぁ、ごめんごめん」
心配そうに正門さんは口元を撫でてきた。こんな風に人に接することができるなんて、この人は、優しい人なのだろうか。
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ぽてと(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます！ そう言っていただけて嬉しいです！ 出来る限りペース上げていきますね！ (2020年6月22日 19時) (
レス) id: 697481dbf3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 初めまして！こちらの物語が好きで更新されるとすぐ見てしまいます(^^)ただ1話ずつの更新なのでお忙しい中申し訳ないのですが、更新を待ってる時に気になってしょうがないので更新数を増やして欲しいです（ ; ; ）無理を言ってしまってすみません…… (2020年6月21日 22時) (レス) id: 1ca1725196 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とあ | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/Yoshikosan0313
作成日時：2020年5月30日 18時
