五話 【月光隊/月之宮叶乃/響@雫3318】 ページ7
夜、大きな部屋に一人の天女が座っていた。
その美貌は儚く危うく、何処か人間味を感じさせない。
ぬらぬらと焔を宿すその瞳と紅く濡れたその唇だけが生気を感じさせ、歪さは増した。
月明かりが青白くその美貌を照らす頃、ギシ、と足音と共に覆面の男が頭を垂れた。
低い声が告げる。
「御館様、益々ご健存で何よりでございます。」
「ええ。さあそんな堅苦しい格好は辞めて、そこに座って欲しいわ。」
ふわりと優しい笑顔を浮かべ、隠を座らせるこの少女。
名を月之音叶乃。
齢17の少女にして、月光隊当主であった。
△△△△△△
『那田蜘蛛山』
その山に下弦の伍が居ると、報告があった。
本来なら鬼殺隊だけの潜入で済むが、今回はある情報があったからだ。
『十二日月が居るかもしれない』
その情報は微細ながらも己を動揺させた。
産まれて17年。
自身は十二日月を殺すために存在していると言っても過言では無い。
漸く己が打つべき仇を見つけたその己の心境は、僅かな動揺と、高い高揚だった。
そして今夜、任務を命じたこの日。
叶乃は行動する。
御館様として、隊士として、呼吸使いとして。
「やはり可能性が高いです。…?御館さ、」
『ま』と言えずに隠は倒れ込む。
首には沢山の神経が集まっている。
唯そこの弱点を押すだけで、人は容易に気絶する。
素早く隠を縛り上げ、屋敷を飛び出した。
髪を結い、隠し持っていた隊服を着る。
足は露出するし胸は大きく開いているが、そんなのは関係無い。
月之音叶乃は、当主としての責任を果たす為に。
己に尽くす隊士達と闘う為に、その絢爛豪華な着物を捨てた。
「ーーーーッ
月で染め上げられた様な白の狼が森から現れ、それに思い切り股がる。
乗りながら羽織を着る。
白から淡藤色の羽織だった。
背中には大きく『救』の文字。
そのまま全速力で、那田蜘蛛山に向かった。
△△△△△
「…ありがとう白月。さあ、山に帰って」
白月を逃がし、自己の武器…大緯を構える。
しゃんしゃんと音を鳴らす鈴は振動と共に鳴る。
…己の命が此処で尽きるかも知れない。
けれども、それさえも本望だった。
人の上に立ち、微笑みながらの高見の見物。
どうしても、それだけは出来なかった。
己が変わり等幾らでも居る。
けれども私は、自分に出来ることをやりたかった。
高く高く跳躍し、夜の月に少女は照らされた。
六話【十二日月/尼伊月.味噌田楽】→←四話【月光隊/桜月 十六夜桜/如月】
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魑魅 零(プロフ) - また、この小説のアカウントを関連付けている方は名乗り出ていただきたいです。怒っているわけではありません。ただ、この状況を改善するための手伝いをしてほしいです。 (2021年5月17日 15時) (レス) id: 2214ae1c32 (このIDを非表示/違反報告)
魑魅 零(プロフ) - パスワード不明の状況が続いており、ご迷惑をおかけしています。コメント欄への文字数の関係上、詳しい事は書けません。お手数おかけしますが、私のボードの方へ足を運んでいただけると幸いです。 (2021年5月17日 14時) (レス) id: 2214ae1c32 (このIDを非表示/違反報告)
夜伊良(プロフ) - ぷれえとさん» 確かに入れませんね,,,,主催者様に聞いてみますね! (2021年1月9日 15時) (レス) id: 04713d5450 (このIDを非表示/違反報告)
ぷれえと - あの、すみません夜伊良様。パスワードって十二日月の募集企画にかいてある奴で入れましたか? (2020年12月27日 16時) (レス) id: 033e760d76 (このIDを非表示/違反報告)
ぷれえと - 【十二日月/蕗槻/更新します。】 (2020年12月27日 16時) (レス) id: 033e760d76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日光隊&月光隊&十二日月 x他2人 | 作者ホームページ:無し。
作成日時:2020年6月6日 11時