呪術師としての話 ページ39
そして、気づけば入学して数ヶ月が経ち。
桜もとうの昔に散り、うだるような暑さが続く日も過ぎ、高専の木々の葉が色付き始めた今日この頃。
高専の教室で私は一人、窓際から見える山々をぼんやりとながめていた。
窓から入ってくる風は確かに秋の匂いがして、『時間の流れは速いなぁ』と感慨深くなりつつそう呟いた。
高専に入ってからというもの、分かってはいたが忙しい日々が続いた。
そもそも学生といえども私たちは呪術師。常に人手不足である術師界隈では貴重な人材なのだ。
なので連日任務に駆り出される。
任務といっても1日で終わるもの、長期間に渡るもの、その種類は様々だ。
そして、そこにつきまとう「死」の気配。
逃れられないモノ。
学生だから、子供だから、なんて免罪符は通らない。
死ぬか生きるか、祓うか祓えないかの残忍で残酷な世界。
誰かが死んだ所で立ち止まってはいられない。
そんな甘っちょろい覚悟じゃ、生きられない。
言うなれば人間の本能を試されるのだ。
普通の人間だったら、死にそうになったら生きる方法を考える。
生存本能というべきか。それが人間に備わる本能だ。
だが呪術師は違う。
死にそうになったら、「どう目の前の敵を祓うか、ダメージを与えるか」を真っ先に考えるのだ。
本能なんて滅せ。恐怖なんて滅せ。
そんな「イカれた」思想であれ。
これが、呪術師である。
『…まぁ、だからといってすぐに死ぬわけにもいかないんだけどね〜』
シリアスモードから一転、んーっと背伸びをしながらゆるゆるモードに入った私はそのまま窓枠に寄り掛かる。
背中に感じられる秋風が心地良い。
気持ち肌寒い気もしたが日光が照っていたため、絶妙な心地良さを生み出していた。
(はぁ…一時の平和な時間…)
…なんて思ったが。
そんなものは次の瞬間、かき消されることとなる。
「あ、Aはっけ〜ん」
『………。』
来たぞ、奴が。
別名私の平穏ライフをぶっ壊しにかかってくる歩く爆弾が。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 189人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すば(プロフ) - じんさん» ありがとうございます！なるほど今度は逆の話を…分かりました！ (2022年12月15日 6時) (
レス) id: 2bcfe49558 (このIDを非表示/違反報告)
じん - めっちゃおもしろいですね！ごじょるかわよ…リクなんですけど夢主ちゃんがごじょるに嫉妬させる話が見たいです! 更新頑張ってください (2022年12月13日 22時) (レス) id: ec10f53835 (このIDを非表示/違反報告)
すば(プロフ) - えむさん» いいえー! コメントは正直いくら来てもらっても作者が嬉しくなるだけなんで気になさらないで下さい(笑)お風呂会ってやっぱりどうしてもエｒ((殴 (2022年9月22日 21時) (レス) id: c04b45e832 (このIDを非表示/違反報告)
えむ - 何度もコメントすみません!!ちょっと…お風呂会がヤバいぐらいにふぉぉぉお!!ってなっちゃって笑 ああいう桃色の一歩手前みたいなの最高です…本当に…!! (2022年9月22日 4時) (レス) @page12 id: 65817b43a5 (このIDを非表示/違反報告)
えむ - すばさん» ありがとうございます!! ドМなんで楽しみにしてますね笑 (2022年9月21日 2時) (レス) id: 81fdab6c82 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すば x他1人 | 作成日時：2022年9月17日 19時
