【高専編】初対面で気絶させられたんですけれども ページ28
さかのぼること十数年前────
桜が舞い散る季節、春。
『うわぁー…ここが東京都立呪術高等専門学校か…』
片手にキャリーケース、片手に携帯を持ちながら、私は目の前にそびえ立つ門を下からしげしげと見上げた。
地元から電車とバスを乗り継ぎ、歩き続けた先にたどり着いた、呪術高専。………なーんていいつつ、予定の集合時刻からは大幅に遅れてやってきたんだけどね。
いや、だって東京は大都会だから! 道に迷うのは仕方がないじゃん!!? あ、でも決して方向音痴ってわけじゃないんだけどね!!?
それに、こんな山の中に建ってるとも思わなかったし…ってあれ? さっき言ったことと矛盾してない? …まぁいいや。
てなわけで今から数週間前かな…私宛に高専からメールが届いたの。それこそ、高専への経路と所在地「のみ」が書かれた、簡素なメールが。
だからさ、外観はおろか周りの風景とか目印になる建物とか全く分からなくて。ちゃんと高専に着けるのかなぁ…なんて不安を抱えながら出発したわけ。
ま、ちゃんと着けたから良かったんだけどね。
でも…やっぱりこんな山の中にあるなんて事、最初から言ってほしかった。
だって素直に経路に従って行けば行くほど、都会特有の喧騒がどんどんフェードアウトされていって、その代わりに東京とは思えないほどの、のどかな自然の風景がどんどん出てくるからさ。
途中、『あれ? 道間違って東京の県境またいできちゃった?』って何度も思ったよ。………田舎もんですみませんねぇ。
でも、この山の中特有の澄んでいる空気とマイナスイオンを感じられる心地いい環境。それに加え、ヒラヒラと舞う桜の花びら。
そんな風景はまるで、私のこれからの行く末をほのかに照らしてくれているみたいで。
ちょっとだけ気持ちが軽くなる。
……これから、呪術師としてどんな経験が私を待っているのだろうか。
そして、どんな同級生が、青春が、私を待っているのだろうか。
『くーっ……楽しみ!!』
私はそんな期待を胸に石段を歩き……そして、門の扉を両腕で力強く開いた───
「おわ、ちょ、あぶねぇぇぇぇぇ!!!」
『へ?』
…矢先に視界に広がったのは、地面を抉りながらこちらへと向かってくる蒼い球状のもの。
………地面を抉りながらこちらへと向かってくる蒼い球状のもの?
『(え、なにこれマズいやつ?)』
そんな言葉が浮かんだと同時に、私の視界はブラックアウトした。
暗転。
189人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すば(プロフ) - じんさん» ありがとうございます!なるほど今度は逆の話を…分かりました! (2022年12月15日 6時) (レス) id: 2bcfe49558 (このIDを非表示/違反報告)
じん - めっちゃおもしろいですね!ごじょるかわよ…リクなんですけど夢主ちゃんがごじょるに嫉妬させる話が見たいです! 更新頑張ってください (2022年12月13日 22時) (レス) id: ec10f53835 (このIDを非表示/違反報告)
すば(プロフ) - えむさん» いいえー! コメントは正直いくら来てもらっても作者が嬉しくなるだけなんで気になさらないで下さい(笑)お風呂会ってやっぱりどうしてもエr((殴 (2022年9月22日 21時) (レス) id: c04b45e832 (このIDを非表示/違反報告)
えむ - 何度もコメントすみません!!ちょっと…お風呂会がヤバいぐらいにふぉぉぉお!!ってなっちゃって笑 ああいう桃色の一歩手前みたいなの最高です…本当に…!! (2022年9月22日 4時) (レス) @page12 id: 65817b43a5 (このIDを非表示/違反報告)
えむ - すばさん» ありがとうございます!! ドМなんで楽しみにしてますね笑 (2022年9月21日 2時) (レス) id: 81fdab6c82 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すば x他1人 | 作成日時:2022年9月17日 19時