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瀬戸際の攻防 ページ5

「まぁそう項垂れるな。お前はオレが気に入った女。…簡単には死なんだろう?」

『簡単に言うけど…ってやばい足音が聞こえてくるんですけど!!』

「もう来たか…思ったより早い到着だな流石オレの式神だ。…ではA。お前が生きていた暁には、また会おう」

『ちょ待って待って待ちなさ…』




フッ、と。
体が軽くなると同時に、目のかすみが取れた。

私はサッと立ち上がり戦闘態勢を整えた。





…っていうかさぁ






「グルルルルルルル…」

『うわぁ…なにこれ犬神? めっちゃ強そうじゃん…というか私の身長の数倍はあるんですけど…』


こんなデカくて強そうな式神なんて聞いてないんですけど…。


…霧尤、私はアンタを恨みます。







『ゲホッ、…なにが互角よ…こんな化け物に勝てるわけないじゃん…』



数時間後。



私は霧尤の式神に翻弄され、苦戦を強いられていた。

その式神…ワンちゃんは広範囲かつ強力な攻撃を次々と連発し、私もそれを防ぐのに精一杯で。おまけに攻撃を防ぐだけでも、元の攻撃が強力だから呪力消費は激しく。私は生まれて初めて「呪力切れ」という言葉が頭に浮かんだ。

…というか戦闘がこんなに長丁場になると思っていなかった。
まずさぁ、このワンちゃん回復速度がえげつない。攻撃しても攻撃しても即回復してくる。


そんで私は少なからずともワンちゃんの攻撃を受ける。ただのじり貧だ。




『…ははっ、こんなとき五条だったら呪力なんて気にしないで戦ってたんだろーな』



悔しいけど、術師においてのパフォーマンスは五条が一番だ。それに五条には六眼があるから無駄な呪力消費が極端に少ないわけで。

こんな時だけど、誰か助けに来てくれたらな、なんてらしくもないことを考える。

――――と




「グアアアアアアッッツ!!!!」

『っ!!?』



ワンちゃんがついに仕掛けてきた。
今までとは比にならないほどの呪力出力。私はそれに対応するため、自分に出せる最大の呪力を絞り出し防護体制をとった。…だが、それがいけなかった。


フッ、と。


『…っ?』


私の体を覆う呪力の壁が消え失せた。

―――呪力切れ―――。



まずい、と思ったときにはもう遅かった。



「グオオオオオオオオオッツ!!」



『ガ、ハッ…』



凄まじいほどの衝撃波。
私の体は宙に浮き、衝撃波の勢いのまま木に叩き付けられた。

ズル、と地面に落ちる私。
…それでもなんとか体を動かそうとしたが、全身が悲鳴をあげた。
…骨が逝ったか。

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作者名:すば | 作成日時:2022年11月20日 20時

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