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年頃女子の語り部 ページ22

「で、誰なの? Aの思い人は」

『いやだからなんで私が恋してる前提で話が進むの!? さっきも言ったけど私恋なんかしてな』

「…ねーA。私の前で言い逃れできると思ってそーゆー事言ってるつもりなの?」

『…』




…観察眼の鋭い硝子のことだ。言い逃れなんて出来るわけがない。

というかなんで私の周りは勘がいい人ばっかり集まっているのだろうか。もうみんな自分以外の他人の心を見透かす超能力でも持ってるんじゃないの?


…って、そんな馬鹿げた事考えて現実逃避しないの私。もうこうなったら言えるところまで言うしかない。すっっごく恥ずかしいけどさ



「で? 誰なの?」

『…まぁ、確かに気になる人はいるけどさ。流石にそんなド直球な質問に答えるのは無理だって』

「…まぁ確かに質問が悪かったかもしれないな。じゃあ…気になる人は高専内にいる、っていうのはどうなんだ?」

『うん、それは当たり』

「なるほど。じゃあ年上か同い年か」

『え゛、それ言ったらほとんどバレちゃうくない?』

「いーじゃん。言って減るもんじゃないし。で? で?」



『………どし』


「ん?」



『同い年、って言ってるの……』




それを聞いた瞬間、「え……マジで言ってるのかそれ!?」と珍しく興奮…というよりかは驚きを隠せない声音でそう言う硝子。


…あぁ、言っちゃったなぁ。
羞恥心とどこかで疼く高揚感で全身が暑くなる。



…だってこんなの好きな人バラしたのとおんなじじゃん。



いやまぁあの二人のどっちなのかっていうのは、今の硝子にはバレてないけどさ…バレるのはもう時間の問題だと思うし。


なんか、うん、とりあえず消えたい。





「いやーAがあのクズのどっちかが好きだなんて…結構驚いたな。…もしかしてあの任務で頭打って誤作動でもおこしたんじゃない?」

『いや私は至って正常です!!』

「…だよなぁ。それにしてもまさかAが落ちるとはなー」



そう言いながら面白そうに私を見る硝子。その視線に耐えられなくなった私は思わず目を反らしてしまった。




「ま、でもAが誰を好きになろうが自由だし。なんなら相談にもたまには乗ってあげるからさ」

『…! ホント?』

「あぁ。……で、結局あの二人のどっちが好きなんだ?」

『結局そこかよ』





抜け目のない友人に内心苦笑しつつ、結局私は胸の内を明かすことにした。




………まぁ、再度驚かれたというか「熱でもあるんじゃないのか?」って心配されたけど。

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作者名:すば | 作成日時:2022年11月20日 20時

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