眠気に溺れ ページ18
『なるほど。…呪力が零れるかぁ…ということはつまり私は弱体化系の術式をかけられてたっていうこと?』
「多分な。…ま、あのワン公が式神だったら裏にいた式神使いにかけられたって考えるのが妥当だろうな。…その代わり裏に第三者がいる気配が全くしなかったのが不思議でしょうがねーけど」
『うん…ソウデスネ』
第三者いますよ。
…なんて口がさけても言えない。
というかこの男、勘が良すぎるにも程がある。
まさかあの場のみの手掛かりでそこまで考えられるとは…流石といいますか。きっと今までの人生の経験値っていうのかな、が私とは段違いなんだろうなぁ…
やっぱり五条は私よりもずっと強いと思う。
そんな事を考えていると五条はふぁぁ…と眠そうにあくびをした。あ、そっか。この人私の任務引き継いだから一睡もしてないのか。
「ま、終わったことには興味ねーけどな。それに、消えてった術師はあのワン公にやられただけだろ…というか眠ぃ…頭働かすのめんどい…」
『だろーね。だったら早く自分の部屋に戻って寝な? 今日は授業も入ってないしさ』
「…んー…動くのもめんどくせぇ……膝枕して」
『うん、ひざま………なんて?』
あれ??
なんだろう、こう、たった今、自分にとってものすごく都合がいい言葉が聞こえてきたような気がしたのですが。
膝枕して? もしかしなくとも膝枕してって言った? この人。
それとも私の聞き間違いかな?
…って、私も何を言ってるんだろ。五条がそんな事を言うわけがないじゃん。ただの級友の私に。
そう思うと少し胸が痛むけど…ありえないものはありえないのだ。
とりあえず、私の横でうつらうつらしえいる五条の肩を揺すり話しかける。
『五条ー、五条ー? 寝るんだったらちゃんと自分の部屋のベッドで寝ましょうねー?』
「…うっせ……お前のせいで俺は今機嫌わりぃーんだよ…口答えすんな」
『機嫌悪いの私のせいなの!!?』
「そうだって言ってんだろ…」
『私なんにもしてないのに!!?』
「あー…ギャーギャーうっせーな…」
と、眠たげにそう言ったその刹那。
五条の体がフラッと私の方に傾き、…そのまま身を預けてきた。
…え。
私の膝上あたりで腕を組みながらそこに顔をふせ、安らかな寝息を立て始める五条。
あまりにも突拍子のない事に、そして布団越しでも伝わってくる温かさと確かな重みに、私は全身が熱くなった。
…さっきの言葉が幻聴だって信じたかったのに。
こんなの、ズルい。
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作者名:すば | 作成日時:2022年11月20日 20時