好きかどうかなんて ページ20
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五条side
「…ふぁ………ん、結構寝たな…」
目を覚ました俺はゆっくりと体を起こし、凝り固まった全身をほぐすためにんーっと背伸びをする。
この部屋に来たのがだいだい午前八時過ぎとかそのくらいだった。…で、壁にかけてある時計を見ると午後四時過ぎ。
八時間も寝てたのか。普段はショートスリーパーの俺が。
「ま、こいつのせいだろうな」
横を見ると気持ちよさそうに寝ているAの顔が目に入る。
疲れとダルさで思わず膝枕してなどとらしくない事を言った俺だったが、意外にもAは抵抗することなく受け入れてくれたため、俺も安心しきって熟睡してしまった。
それと、
「どうやったら私のことを好きになってくれますか、か…」
って、夢の中のAは俺に対してそう言ったんだっけ。
あまりにも自意識過剰というか、ご都合主義的な自分の夢に苦笑する。
俺は…その質問には一生答えられないだろう。
何故なら…俺が好きになった人は絶対に不幸になるのだから。俺にかかってる呪いのせいでな。
いや、違う。俺が好きになった人というよりかは好き合った人、簡単に言えば俺と両想いになった人と言えばいいか。…が、不幸になる。
…だって、
俺、そうなった途端死ぬんだぜ?
笑えるよな。
俺が好きになった人が俺を好きになっても死ぬ。俺のことが好きな人と俺が両想いになっても死ぬ。
そんなの、不幸以外になんていう?
だから…例えAが。俺の事を好きになってくれても。俺はそれに応えることが出来ない。
逆もしかりだ。
というか俺自身、Aの事が好きなのかどうかよく分かっていない。
でもAはさ、絶対比叡山の時俺に落ちた気がすんだよなー。経験上。あの表情といい態度といい…まぁ確信はできねーけど。
ん? 自意識過剰? だからなんだよ(笑) モテてるのは事実だろ?
でも…実は俺、今まで一度も本命を作ったことがないんだよなこれが。あ、これはマジだぞ、マジ。
だから…好き、という感情についてまだよく分かっていないところがある。
ま、この呪いを知ってからは好きなやつとか作っちゃいけねーと思ってたからまともな恋愛してこなかったけどな。
ぶっちゃけ結婚とかも出来ねーし、尚更か。
「五条家当主にだけかかる呪いとか…クソめんどくせー」
俺は最後にそう呟いて、Aの顔を一目見た後、医務室を出たのだった。
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作者名:すば | 作成日時:2022年11月20日 20時