第八十九話 煉獄部隊の毒 ページ39
「おや、あなたからいらしてくれるとは」
「なんで？なんでよ・・・私が何か悪いことをした、の？なんで・・・なんで壊すの？」
「目的のものがここにあるから。ただそれだけです」
「それだけ？それだけのため・・・？そのために壊すの？―――私の大切な場所なのに？あはは、本当、人間って随分と自分勝手な生き物ね。いいわ。殺してあげる。いいえ、殺す。ここにいる人間全員を」
「あなた一人に何ができるのですか？」
「甘く見ないでよね。ここは私の空間。私のための世界。ここに満ちるのは私の魔力全てよ」
詠唱もなしにアストリッドローブの中から粘性を持つ黒いものが出てくる
それはアストリッドの足を伝い地面に広がっていく
「殺せ！今すぐあいつらを殺せっ！！」
漆黒の影をまき散らしながらルネットを襲うがそれらはルネットに触れた瞬間消え去った
「えっ―――なんで・・・」
「煉獄部隊」
「っ！」
「それは今私が所属をしていて、なおかつ率いている部隊。あなたがユーグスタクトである以上私にはあなたの魔法は効きません」
「っ・・・きゃっ！？」
背中に衝撃を受けそのまま地面に叩きつけられる
「ぐぅっ！」
背中を武装した男に踏まれ顔を顰める
「あまり傷つけないでください。それにはまだやってもらうことがあります」
「わかっているって、大将。あんたの願いを叶えるのにこのちっこい化け物がひつようだってことも」
「えぇ。とりあえず捕らえてこちらに連れて来てください」
「了解。悪いな嬢ちゃん。俺は女子供をいたぶる趣味はないが大将の命令なんでな、ちょっくら痛い思いをしてもらうぜ」
「っ、きゃぁっ！」
首に細い針のような物を刺され体内に液体が注ぎ込まれる
体内で魔力が暴れ出し激痛を引き起こす
「どうですか？煉獄部隊が開発した薬の威力は。ユーグスタクトの魔力を乱すための代物です。本来は剣などに塗り扱う物ですが本人に投与するのは何分初めてなものでしてね。おそらく今頃魔力が暴れ体内を切り裂き激痛が襲っている状態でしょうか？まぁ、その状態ではろくに魔法は扱えないみたいですね」
面白そうに観察してくるルネットに殺意を憶える
「こんな、人間が、作ったもので・・・私は、負けな・・・げほっ！！」
咳込むと血が床に飛び散る
「わりぃーな嬢ちゃん」
アストリッド首を乱暴に担ぎ上げ階段を降りるグイード
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作者名：ストゥアート | 作成日時：2017年6月24日 22時
