第八十六話 宴の準備 ページ36
「おね、ちゃ・・・」
「んー？」
声に視線を下ろす。苦痛に顔を歪める少女。人間ではなく魔女だったが為に、杭で打たれた程度では死ぬことはない。ただ苦しそうに、激痛に耐えている。
「お婆、様はどこ・・・？」
「ん？あぁ、あの無能の女？当主でもない女なんか必要ないしね、破壊しちゃったっ♪じゃーんっ！」
「っ・・・」
その手には老婆の首が握られていた
「元は身内だったものってどんな味がするかなぁって思ったけどぉ、不味いね、うん、本当、使えないなぁ！」
あははと嗤い首を投げ捨てた。
「まぁ、でもぉ？こぉーして当主の為に魔法陣を作ってくれるのだけなら役に立ったねぇ〜ねね、どんな気分？追放した者にこうして辱められちゃうって！」
サミュエルの腹部を強く踏みつける。骨が折れる音と小さな悲鳴が聞こえにやりと嗤う
「あたしはねぇ、楽しいよぉ！役立たずの家かと思っていたけどぉ、こーして宴の下準備に協力してくれてねぇ。あたしはねぇ許さないよ？」
「ナーシャ、お喋りはそれくらいに。あとどれくらいで完成しますか？」
「えー、もう実は完成しちゃったりしてぇー！でねっ！でねっ！あとは」
「あの場所に行けば術式は発動すると？」
「いえーすっ！！じゃあレッツゴー！！」
バイバーイとサミュエルに軽やかに手を振り、館を後にする
「―――ようやく始まる・・・彼女の願いはやっと叶う・・・」
「―――あぁ・・・」
少女が安心したように、それでいてどこか悲し気にため息をついた
「思い出したのね・・リッド・・・全てを・・・私たちの全てを・・・」
悲し気に目を細め天井を見上げる
「これからどうなろうとも、私はそれを止めるすべはない。―――でもリッド、あなたは選ぶことが出来るのよ・・・セイラと同じくユーグスタクトを否定して生きるのか・・・全てを受け入れるか」
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作者名：ストゥアート | 作成日時：2017年6月24日 22時
