第八十四話 恋、そして厄災の日へ ページ34
「やっとわかった。ずっとこの中にあった黒い靄の正体が。私はあなたに惹かれていたのね。あなたは私を変えた。感情なんてないはずのユーグスタクトに感情という力を与えてしまった。」
黒い靄が一気に晴れ、心地よいぬくもりに満たされていく
「ありゃ、それって結構まずいこと?」
「いいえ。とても心地がいいもの。あなたのおかげよ、アレク」
「そっか・・・」
「ところで、その子は誰?あなたとよく似た波動を放っているのだけれども・・・」
目線を下せば二人の話に興味がなくなったのかアレックスの足元で花を摘んで遊んでいる少女
「俺の娘。こう見えて俺家族を持ったんだ」
「家族・・・娘・・・」
初めて聞く言葉
初めて見るもの
「イザイラ、セイラにご挨拶をしなさい。」
「う?」
イザイラはセイラを見上げるとニパッと笑った
「イジャイラ!」
「イザイラはいくつかな?」
「んと、2つ!!」
指を二本立てる
「うん、よくできました」
アレックスはイザイラの頭をなでるとセイラをまっすぐ見た
「イザイラ。君の名から取ったんだ。いきなり消えてからもずっと待っていた。でも君は来なかった。仕方ないと思った。ユーグスタクトと人間は同じ時間を歩めないから。その時が来たんだと。でもまた君は来てくれた・・・ありがとう・・・セイラ・・・」
視界が歪む。
次に目に飛び込んできたのは小さな部屋。そこは赤く染まっている
「アレク!イザイラ!!」
パニックになり愛する者の名前を必死に呼ぶセイラ。しかし二人は返事をしない。
アストリッドの目から見ても彼らが死んでいることが分かった
「だめよ・・・そんなの認めない・・・認めない!!」
ドゴンとセイラを中心に世界が揺れる
セイラの体からとてつもない量の魔力が溢れ出す
「私は絶対に認めないっ!!!」
世界は闇に包まれた
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作者名:ストゥアート | 作成日時:2017年6月24日 22時