第七話 ギルバードの主 ページ8
再びため息をつきポケットに入れていた懐中時計の時間を見る
「って、いけね!遅刻する!」
会う予定のなかった少女との出会いのせいで時間がだいぶ押してしまったらしい。買い物袋を持ち直し走って表に出て混雑する人込みを掻き分け走る。人の波をかき分け走るギルバードを人々が迷惑そうに見てくるが関係ない。職場に遅刻すれば周りから小言や嫌味を言われるのは分かりきっている。
幸い職場に遅刻をするという大失態すんだが走っていた為、買い物袋の中身がかき混ぜられてぐちゃぐちゃとなりその原因を作った白い少女を恨んだのは別のお話し
ギルバードの朝は主である少女を起こすところから始まる。閉じられたカーテンを全開にして部屋の中に朝日を取り込む。朝が苦手なのか少女は不満そうな抗議の声をあげながら寝台から身を起こした
「おはよう、ステフ」
「…おはようございます、誰かさんに起こされるまでは素敵な時間を過ごしていましたわ…」
「そうか」
15歳ほどの少女は可愛いらしく小さなあくびをすると化粧台を指差した
「髪を梳いてくださいますか?」
「はい」
慣れた手つきで主であるステファニーの繊細な金色の髪に櫛を通していく。櫛を通す必要なんてないのではというほど柔らかく絹のようにサラサラとした金色の髪が背中に垂れている
「また揚げパンを買いましたね?そういう偏った食事ばかりでは身体を壊してしまいますわよ?」
「確かにそうだな。以後気を付けるとしよう」
「そうしてください。でも今日は食べていせんね?あなたが以前お話してくださったアリスさんという方にお会いになったのですか?」
「そうだ。まぁ、すぐに別れたがな」
「そうですか。一度でいいからお会いしてみたいですわね、とても素敵な方なのでしょう」
まだ見ぬ少女の顔を思い浮かべているのかうっとりと目を細める
「前も言ったがそれだけはやめとけ。あいつはやんちゃすぎる、貴女の手には負えない」
そもそも相手は魔女の中でも最高位の存在。そんなユーグスタクトにとって御子は自身を破壊できる敵。お互い嫌悪する存在同士を引き合わせたら城が吹き飛ぶだけで済むはずがない。無理やり話を終わらせ櫛を片付ける
「ギルバード、今日の予定はなにかしら?」
「午前午後ともに王族会議が入っています。」
「あらまぁ今日は退屈な日になりそうですわね。どうせ飾り物として扱われるのは目に見えていますのに…他にはなにかありますか?」
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ストゥアート(プロフ) - 昔少女さん» コメントありがとうございます。更新頻度は遅いですが、楽しんでいただければ幸いです。これからもよろしくお願いします。 (2017年10月22日 14時) (レス) id: df3bdd8f8f (このIDを非表示/違反報告)
昔少女 - あなたの生み出す想像の世界を私も漂っています。 (2017年9月17日 15時) (レス) id: f6820b1fd8 (このIDを非表示/違反報告)
ストゥアート(プロフ) - エリザさん» ありがとうございます。今週は期末試験期間なのでほとんど更新ができませんがこれからもよろしくお願いします。 (2016年7月25日 20時) (レス) id: df3bdd8f8f (このIDを非表示/違反報告)
エリザ - 更新まっています(^_^)/~ (2016年7月25日 11時) (レス) id: fa956406d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ストゥアート | 作成日時:2016年7月4日 21時