Street Blues ４

１ 忠義Side ページ1

忠義Side


「たあ、本気で選んでよ？
どっちが可愛いと思う？」


さっきから、Aちゃんは、
明日の結婚式の二次会に着てく洋服に、
頭を悩ませてる。


その二次会な、
たまたまやけど、
俺の働いてるレストランバーでやるねんて。


「ワイン色はこのファーが気に入ってるけど、
ノースリーブやから、そこがマイナス。
紺色のは襟のリボンと袖が可愛いんがええねんけど、ちょっと地味かなあって。
たあはどっちが好み？
男子の意見が聞きたいねん」


めっちゃ真剣な顔で、俺に意見を求めてくる。

正直、Aちゃんが着たら、
両方、めっちゃ可愛いと思う。


ワイン色のは大人びてて綺麗やし、
紺色のは清楚で可愛い。


そんなん言われへんし・・・

答えに一瞬、詰まってたら。


「俺はワイン色の方。
けどほんまはもうちょっと派手な方がええと思う」


ヤスが俺より先に答えてしまった。


Aちゃんは、
俺の高校の時の先輩で、
今では親友でもあるヤスの、
３歳年上の姉ちゃん。

つまり、俺より４歳上って事になる。


今は、ヤスとAちゃんが、
去年から二人暮らししてるマンションで、
毎週恒例の家呑みの最中。


「章大の意見は偏っててあやしいから。
やから、まともな感覚のたあに聞いてるんやんか。
どっちが好み？」


ドレスを自分の前にあてがって、
真面目な顔して俺を見つめる。

めっちゃドキってしたん、
顔に出てへんかな。


「俺もワイン色の方かな。
クリスマス近いし・・・
いや、やっぱ、紺色の。
そっちのが清楚でええわ」


ほんまは、ワイン色のドレスはめっちゃ似合うやろうなと思ってんけど。

色っぽ過ぎるから、
他の男の前では着て欲しくないなって、
急に思い直してん。


「そうかな。
じゃあ、紺色にしよっと」


俺の意見であっさり決まってもうて、
邪念が入って嘘ついたから、ちょっと胸が痛む。


「姉ちゃん、なんでそんな気合い入れてんの？
美容院まで予約入れて」


ヤスが、ズバッと、俺の一番、聞きたいことを聞いてくれた。


「ん、実は・・・」


嫌な予感がぐるぐる回り出す。

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