Street Blues ４

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ヘタレ過ぎて、自分が情けないわ。


「たまには追っかけるんも悪ないで？
今日は一緒に帰れるやん。
頑張れ。
うまくいったら、
後輩やのに、俺の兄ちゃんやな」


ヤスが可愛いアイドルスマイルでにこってして言うて。


俺の背中叩いて、行ってもうた。


よう見たら、
ちょっと先の洋服屋の前に、
女の子が待ってる。

ヤスの新しい彼女か。


ヤスはええなあ。

いつも思ったとおりに行動出来て。


いやいや。

俺も頑張ろう。


ヤスが背中押してくれてんから。


今日こそ、デートに誘う。

仕込みで野菜切りながら、決意してた。







立食パーティー形式で二次会が始まった。


Aちゃん、来てるかなって、
気になって仕方ない。


あの紺色のドレス、可愛いやろうな。


襟元が詰まってて、細いベルベットのリボンが付いてた。


袖はオーガンジーで、さらさらしてて。


一目でええから、
着てるとこを見たい。


ずっと厨房におったら、
見られへんやん。


て、仕込みでひたすらジャガイモを切りながら思い悩んでたら、

オーナーシェフの寛人さんに、


「錦戸と大倉。
お前らカウンターでカクテル作れ。
バーテンダーが足りひんわ」


そう指示された。


オーナーは実は俺の兄ちゃんの友達で、
うちの実家が経営してるフレンチ継ぐ前に、
よそで修行した方がええて言われて、
大学出て、調理師学校出て、
この店に勤め出して、
今年は２年目。


「大倉、お前は見た目要員やからな。
しっかり次につなぐ客、つかまえて来いや」


俺の兄ちゃんの友達やて言うのに、
俺はオーナーに嫌われてて、
しょっちゅうこうやって突っ掛かられるねん。


普段なら、ため息出そうな場面やねんけど、

今日は別や。


店に出てたら、Aちゃんに会えるやん。




バーテンの制服に着替えて、
錦戸先輩とカウンターに出てったら、
舞ちゃんが、

こそこそって近づいて来た。


「大倉さん、オーナー、
また機嫌悪いですよね。
ひどいよね。
自分の機嫌で従業員に当たったりして」


ヒソヒソ話してくる。

距離が近過ぎる。

やからこれが、オーナーに嫌われる元凶やねんて。


オーナーは舞ちゃんを狙ってはるねん。

で、オーナーの気持ち、分かってるくせに、
舞ちゃんは俺を気に入ってんのを、
隠そうともせえへんから。

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