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「放して!」


小さい体のどこにそんな力あるん?てぐらいの勢いで、俺の手を振り払ってくる。


「あの可愛い彼女と仲良くしてたらええやん。
なんで私なんか追いかけて来るん?
たあが悪いねん。
そんな、思わせぶりするから、
やから・・・」


もう泣き出しそうな目で俺を睨みつけて。


また逃げ出そうとするから。


「待てって言うてるやろ」


焦って、きつう言うてもうた。


つかんだ細い手首も、
知らず知らずのうちに、

あんまりにも強く握りしめてたみたいや。


「痛い。
放して。
なんでこんなことするん?」


俺を見上げたAちゃんの目に、
涙が溢れてくる。


「・・・好きやから。
そんなん決まってるやろ」


それだけ言うて、
つかんでた手を引き寄せて、
もう、腕の中に閉じ込めてやった。


Aちゃん、興奮してて、
軽いパニックなってるみたいや。


好きやから、て、ちゃんと伝えたのに・・・


俺も焦ってて、
喧嘩腰になって、
きつい口調なってもうてたかな。


信じられへんのか。


「なんで優しいするん?
もう放して・・・。
こんなん嫌・・・」


肩を震わせて泣き出して。


ずっと、嫌々して、
力でなんかかなうはずもないのに、
俺の胸を押してくる。

こんな感情揺れるところ、初めて見た。


「好きやから、優しいしてんねん。
好きやから、ぎゅってしたい。
分かるやろ・・・」


優しい囁いて、
少し離れて、顔、覗き込んだら。


涙でいっぱいの目で俺を見上げてる。


肩にも髪にも、雪がはらはら舞い降りて、
めっちゃ綺麗や・・・


「・・・ほんと?」


消え入りそうな声で聞いてくれた。


「嘘なんかつくわけないやんか。
Aちゃんが好きや」


この一言を音にすること、
なんであんなに怖がってたんやろう。


一度、声にしたら、
何回でも何回でも、言いたくなった。

俺の気持ち、分かって欲しくて・・・


「・・・嬉しい」


Aちゃんの返事はそれだけ。


でも、やっと少し落ち着いて、
俺の手をそっとつかんでくれた。


胸がきゅってなる。


Aちゃんの手は小さい。


反対に俺の手で包み込んだら、
照れくさそうに、はにかんでくれた。


その瞬間、ビル風が吹き抜けて。


急に寒さ、感じて、ぶるって震えた。



コートも着ずに、この雪の中、
薄い制服のまま飛び出して来たんやった。

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ひみさ(プロフ) - このお話、切ないけどいいですね(///∇///) 続きも楽しみにしてます♪ (2017年12月28日 17時) (レス) id: 2e580a9b8d (このIDを非表示/違反報告)
般若(プロフ) - あー!!こっちの話も好き(>_<)たあ、、、。foolさんお得意の?←焦らしというか、互いのすれ違いがビビッと来てます◎はよ、たあと結ばれてほしい、、、。うわーん (2017年12月28日 14時) (レス) id: ebddda1dae (このIDを非表示/違反報告)
yume.no.(プロフ) - 今のお話の方が私は好きです☆年下たぁくんも最高ですね(*'ω'*)完結まで楽しみに読ませていただきます☆ (2017年12月28日 0時) (レス) id: 716f977705 (このIDを非表示/違反報告)
マッキー(プロフ) - あら!内容変わってる?!びっくりしました(笑)けど、得した気分♪ (2017年12月27日 23時) (レス) id: 91ea55fdc2 (このIDを非表示/違反報告)
えぬ(プロフ) - 新しい展開ドキドキします!前のも読めてよかったです!新しいのも楽しみにしてます(^o^)!頑張ってください! (2017年12月27日 11時) (レス) id: 0e23a7d5b0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:fool x他1人 | 作成日時:2017年12月14日 10時

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