Street Blues (ページ6)

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キャンドルが揺れるバーカウンター。

「ヤス、久しぶりやな。
最近、顔見せてくれへんやん。
忙しいん？」

大倉は相変わらず。

「うん、ちょっと残業続きでな」

Aは驚いた顔して、
立ち尽くしたまま、
俺と大倉を見比べてる。

「・・・ヤスの彼女？
初めまして」

大倉がAに笑いかけた。

「うん。
彼女のA。
こっちは友達の大倉」

そう軽く答えたら。

さっきまでもう泣き出しそうやったのに。

「ちょっと。
章大、何言うてんの？」

少し、いつもの調子に戻って、
ほっとした。

「この子に合う綺麗で美味しいカクテル。
作ったって」

大倉に頼む。

Aはまだ驚いてる途中みたい。

薄いブルーの液体が、
キャンドルの灯りで、
ゆらゆらしてる。

俺はそのグラスを傾けてる、
Aばっかり見つめてた。

「綺麗・・・
でも涙色みたい」

Aが呟いて。

櫻井リーダーの事、思い出したんか、
少し涙ぐんだ。

職業柄、こんな子、飽きるほど見てるんか、
大倉は何でもないように。

「ヤス、久々に弾いてや。
そろそろ閉店でお客様も少ないし」

店の奥にあるギターを指差した。

「章大、ギターなんか弾けるん？
こんなおしゃれなお店、知ってるくせに、
なんで一回も連れて来てくれへんかったん？」

Aが責めてくる。

「言いそびれてただけやんか」

大倉みたいなええ男がおる店に、
連れて来るわけないやん。

けどそんなん言われへんやろ。