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外に出たら小雨がぱらついてた。
もう12月やし、
街はすっかりクリスマスムード。
「うわあ。
やっぱ夜は冷え込むね」
Aが手袋はめた手で、
自分のほっぺたを包んでる。
可愛ええ仕草。
ほんまは・・・
Aとデートしてみたい。
クリスマスも一緒に過ごしたい。
ルミナリエのイルミネーション、
今年は一緒に行けへん?
どうしても、
音になれへんままの気持ち。
けど。
言わな、何にも始まれへんやん?
これはいつも、俺がAに言うてることやん。
「なあA・・・」
駅に向かって歩く道すがら、
言いかけた俺に。
「大学生の頃・・・
ルミナリエ見に行って、
振られた事あったなあ」
Aが不意にそんなん言うから。
喉まで出かけてた言葉が引っ込んでもうた。
「そうなん?」
「うん。
それ以来、恋とは4年も無縁。
やからルミナリエは嫌い」
いじけた顔してるのも可愛い。
なんでこんなに惚れてもうたんやろう。
いつから好き?
Aが今年の春、
うちの部署に異動してきて。
少しずつ意識するようになって・・・
櫻井リーダーが来て、
はっきり分かった。
いつの間にか、
めっちゃ好きになってもうてるって。
「そんなん言うたら、
ルミナリエが可哀想やん。
なんの罪もないのに。
今年は行こうや。
めっちゃ綺麗で?」
軽く言えた。
「うーん。
人混み苦手やし。
寒いしなあ・・・」
つれない返事か返ってくる。
これがデートの誘いやなんて、
露ほども疑ってない。
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作者名:fool x他1人 | 作成日時:2017年11月16日 21時