Street Blues (ページ2)

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「私なんか。
相手にしてくれるかな。
東京に彼女おるんちゃうかな・・・」

不安そうに言うて、
グラスの中身を飲み干した。

その白い華奢な喉元に、
グラスを持つ細い指に、
潤んだ瞳に。

俺だけがずっとドキドキしてる。

「言うてみな、分からんやん？
告白されてから意識することもあるかもしれへんし」

「うん・・・
章大はどう？
そんな経験、ある？」

「俺はほら、自分から好きになりたい人やから。
ないけど・・・
割と女の子からっていうんも、
あるんちゃうん？」

「ああ、やっぱ無理。
あんな素敵な人の彼女になるなんて。
彼女にはどんな感じなんかな。
やっぱ、好きだよとか囁いちゃうのかな。
今日は帰さないよとか言っちゃう？
うわあ・・・」

Aは、
俺のこと、女子の友達やて勘違いしてるみたいや。

俺も、男やのに。

今ここで、キスぐらい奪える。

好きやで、って、

その小さい耳元で囁いて。

今日は帰せへんから。て。

強引に連れ出す事かって・・・

声に出来ひんまま、
頭の中でだけ想像してんのは、
俺も一緒やな。

「聞いてくれてありがとお。
こんな話、章大にしか出来ひんわ。
うちの部署の子ぉら、
みんな櫻井リーダーに憧れてるねんもん」

散々喋って、気が済んだんか、
Aが立ち上がった。

「話聞いてもらってるから」

て、さっさと伝票レジに持ってって、
自分一人で支払いしようとしてる。

「なんでやねん。
女のコやのに」

俺が払う言うても、

「同期やのに」

ええとこ、割り勘。

これが今の俺らの関係。