Street Blues (ページ1)

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章大side

先々月、
新しいチームリーダー、

櫻井さんが、
東京からこの神戸支社に来てから。

同期のAはずっと、
彼に夢中。

「でねでね。
章大、聞いてる？
私の奢りなんやから。
ちゃんと話ぐらい聞いてよ」

三宮の会社近くのチェーン店の居酒屋。

どんなに櫻井リーダーが、
かっこ良くて、スマートで、
かつ優しくて、

完璧な男かって。

もうかれこれ、
ゆうに１時間は喋ってる。

そんなに何を話すことあるん？てぐらいに。

櫻井リーダーの事になると、
Aは話が止まれへん。

「はあ。
あんな人、実在するんやね。
櫻井リーダーはきっと、
こんな大衆居酒屋では飲まへんのやろうなあ。
やっぱ、おしゃれな隠れ家風バーとかで飲むんかなあ」

うっとりしながら、
Aが酎ハイのグラス越しに俺を見つめてる。

けど見てんのは俺やなくて、
ここにはおらん、櫻井リーダー。

東京弁の男がええねんて。

それを聞かされる、
関西弁バリバリの俺の気持ち。

ちょっとは考えてくれた事あるんかな。

俺かって、
ずっとAを見てんのに・・・

「なあ、そんな好きなら告白とかせえへんの？」

まさかな。

オクテなAに限って、
するわけないって、

やからカマかけただけやったのに。

まだ酔うてないはずの頬が真っ赤に染まってく。