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「太宰さん、見つかりませんね…」
「ナオミの情報なら、この辺りにいるはずなんだが…」
だいぶ探したけど、太宰さんは全く見つからない。そろそろお腹すいてきたんだけどなぁ…。
「国木田さん、お腹すきました」
「俺はすいていないが、予定では四分二十四秒前から昼食を食べるはずだった。この後の仕事を遅らさないよう、すぐに太宰を見つけなければならん」
「思ったより予定の時間よりもずれてないじゃないですか…」
とりあえず、早く見つけよう。周りを見渡した瞬間、耳を劈く悲鳴が聞こえた。
「悲鳴!?」
「早希、太宰探しは後にするぞ!」
「分かってます!」
悲鳴が聞こえたのは、反対側の川岸。しばらくすると、他の人達の叫びや焦る声が聞こえてくる。誰かが何かをした、といったところだな…。
「通してください!」
「貴方は…武装探偵社の…?」
「そうです。何があったんですか?」
被害者らしき人は、三十代の女性。押されたのか、足首が赤い。捻ったのかな…。女性は顔を真っ青にして私の服を握る。
「鞄を渡せと、ナイフを突きつけられて脅されたんです!取ったあとは向こうへ走っていって…。あの鞄には、かなりのお金が入っているんです!」
「あの黒いパーカーのやつですね…。わかりました。国木田さん、この方の足首を手当してあげてください」
「お前が一人で追いかけるのか!?」
「これでも、足は速いほうですよ!回り込んで捕まえます!」
走り出し、盗人を追いかける。流石に追いつけないから、回り込む。頭の中に地図を入れといて正解だった。
曲がり角を曲がると、走っていく盗人との距離は三メートルほど。これなら捕まえられる!再び走り出し、私は叫ぶ。
「異能力、『彼岸花』!あいつを捕まえろ!」
鬼人が現れ、槍で刃が無い方で盗人の足を強くはらう。そいつはそのまま倒れ、私は腕をひねって押さえつける。
「刑事さん!こっちです!」
「はぁっ…ご、ご協力、感謝致します…!」
「いえいえ」
盗人を警察に渡し、来た道を戻る。国木田さんが待ってるしね。あ、お礼言わなきゃ。隣を見て声をかける。
「ありがとう。おかげで助かったよ」
そう言うと、『彼岸花』はそんなことないというように少しだけ首を振り、そのまま消えた。事件解決!と思ったけど、太宰さんをまだ見つけていない。
「面倒だなぁ…」
小さく呟き、私は国木田さんのところへ走った。
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作者名:Noir&arena x他1人 | 作者ホームページ:nothing
作成日時:2018年2月4日 20時