4 ページ6
職場まではバス停まで10分。バスで15分。そこからまた歩いて5分。合計30分かかる。バスの時間もあるし、正直言って小走りしたのは無意味だ。
いつもは起きるのが7時で9時出勤だから遅刻はしない。けれど…。
「今日は8時出勤。出たのは7時55分。誰が間に合うんだって話だよね…」
階段を上りながら呟く。ちなみに今は8時25分。普通に遅刻だ。
コンコンと扉をノックして入る。そうっと開けると、まず、オレンジ色の髪をした男の子と目が合う。
「あ、おはよう。早希ちゃん」
「おはよう、潤一郎君。…国木田さん、何処にいる?」
「社長室で社長と話してるよ。それにしても、今日は早いね。何かあッたの?」
彼は、谷崎潤一郎君。私と同じ年の子。いつもは妹のナオミちゃんもいるんだけど…今日はまだいないみたいだな。とりあえず…
「特に何も「無いことないだろう」まあ、そうなんだけど………え!?」
パッと横を見る。ああー…怒ってる。完璧怒ってる。束ねた金髪が重力に反してるよ…!震えてるよ…!!
「俺は8時に来いと言ったはずだぞ!早希!!」
「無理言わないでください!メールを出したの、7時30分くらいですよね!?間に合いませんよ!」
怒鳴りつけてきたのは私の上司、国木田独歩さん。理想主義者にして、現実主義者。時間には1秒の差も許せないという人。
国木田さんは表情を変え、俺がそんなことするわけないだろうと眼鏡をかけ直す。
「俺がお前に連絡したのは今日の朝6時30分だ」
「…え?でも…いや、そんなことないですよ。履歴には7時30分くら」
いじゃない。6時30分。何で!?
「早希ちゃん、それは君が機内モードにしていたからじゃあないのかい?」
いつの間にか後ろに立っていたこの男の人。この人も私の上司で、太宰治さん。首や腕などに巻かれている包帯が目立ち、死ぬことが好きだなんて言う変人だ。
「あ、本当だ!!すみません国木田さん!!」
「…まあ、俺も当日に言ったからな。今後は互いに気をつけるぞ」
「はい!」
「いやぁ、良かったねぇ。朝から大喧嘩しなくて!」
ニッコリと笑う太宰さんに、ちょっと……いや、かなりムカついた。それは国木田さんも同じのようで。
「「仕事をサボった貴方のせいでしょう!?/仕事をほったらかしたお前のせいだ!!」」
「見事にハモった!仲がいいねぇ!」
もちろん、太宰さんはこのあと国木田さんの鉄拳をくらった。
22人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Noir&arena x他1人 | 作者ホームページ:nothing
作成日時:2018年2月4日 20時