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ガッ
「 っ!?」
早希が仕事場へ向かった後、自身と同じ見た目の異能にお腹を殴られ吹き飛ばされた柘榴は苦戦していた。
公道には車が無造作に止めてあり、人一人居ない。そして濃霧は辺りに広がっていて視界が悪い。異能と戦うにあたって唯一良かった点といえば柘榴自身が武器を使っていなかったことだ。
誰も乗っていない青の自動車にぶつかり背中に衝撃が走る。
「自分と同じ姿をした敵と戦うのは気味が悪いな…」
痛みを堪えて立ち上がった柘榴は再度飛びかかってきた異能の攻撃を避け、腰を狙って蹴りをする。当たった。柘榴に吹き飛ばされた異能がぶつかった衝撃で車のドアは変形し、窓ガラスの破片が飛び散ってキラキラと光っている。
柘榴は異能に反撃した後、ここでは動きづらいと思い場所を変えるために大きな広場がある公園へと走った。
広場へと着いた柘榴は公園へと向かう途中に拝借したバイクを停めた。いつもは多くの人で賑わっている___池公園の案内板は幾分か寂れて見える。異能がここへ来るには少し時間がかかるだろうと思ったがそんなことは無かったようだ。
広場の中心にある噴水の前に異能は立っていた。額にある赤い宝石らしきものが妖しく輝いている。
「休憩もさせてくれないってわけね」
柘榴の場合は正真正銘の自分との戦いみたいなものだが、早希に関しては『彼岸花』との戦いになる。早く早希の援護に行きたい柘榴は自分の異能に真っ向から殴りに掛かった。
異能も柘榴へ向かって拳を振るう。柘榴は異能の元へと向かうために走っていた足を止め横にずれた。そして自分の横を通り過ぎようとしていた異能に回し蹴りをしようとしたが、異能は腕で蹴りを受け止め柘榴の足を掴む。
足を掴まれた柘榴は地面に手をつけ回し蹴りの軸にしていた足を上げた。その足は異能の顎に当たり、異能は手を離した。柘榴は異能の手から離れた足を地面へ下ろしてその姿勢のまま、大きく仰け反っている異能に足払いをする。
ドサッ
柘榴は倒れた異能の真上から鳩尾を狙って
辺りに爆発音が響く。まるで花火が破裂したような音だ。そして柘榴は嫌なことに気がついた。それはポートマフィアが管理する武器庫の方向から爆発音が聞こえてきた、ということだ。
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作者名:Noir&arena x他1人 | 作者ホームページ:nothing
作成日時:2018年2月4日 20時