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危なかった。『彼岸花』が気づいてくれてなかったら、今頃私は死んでいた。槍で弾を切れるのか…なんて思ったけれど、私の『彼岸花』は何でもありだ。
「『彼岸花』」
呼ぶだけで、『彼岸花』は全てがわかったように動く。運転手さんの銃を真っ二つに切り、彼の顔、ギリギリまで槍を突き出す。
「刑事さん!こっちです!」
いいタイミングで到着した警察に、運転手さんと秘書さんを突き出す。
「ちゃんと罪を償ってくださいね」
「ご協力、感謝します」
「では、あとはよろしくお願いします」
2人を乗せたパトカーを見送り、国木田さんと車に乗り込む。ちなみに、社長さんは警察に保護されているから、ここには私たちだけ。やっと帰れる…。
「首が座っていないぞ。大丈夫か?」
「空腹だし眠いし…最悪のコンディションです」
「飯は奢るが?」
「大丈夫です。友達とシェアハウスをしているんですけど、多分、待っていてくれてると思うので。彼女の料理、美味しいですし。国木田さんも食べていきます?」
「いや、遠慮しておく。女性の家にあがる気はないからな」
「これは失礼しました」
エンジンをかけ、発車する。心地いい揺れに余計に眠気が襲ってくる。柘榴、待ってくれてるだろうな…。………案外、待ってなかったりして。
「着いたぞ。ここであってるな?」
「あってます。わざわざありがとうございました」
「明日は9時出勤だ」
「ありがとうございます。次は、ちゃんとメールを確認しますね…」
「頼んだぞ」
国木田さんは少し笑って、車を走らせた。疲れたな…。滅多にこんな時間には眠くならないんだけど、今日は疲れた…。
「ただいま〜……」
…返事がない?おかしいなぁ…。帰ってるはずなんだけど。リビングも電気ついてないし。自分の部屋にいるのかな。
「とりあえず座ろ…」
自室には戻らず、電気もつけずにリビングにある椅子に座る。そしてテーブルに突っ伏した。…寝そう…。ふと、軽く肩を叩かれる。
「どうしたの、『彼岸花』…というか、勝手に出てくるなんて珍しいね」
『彼岸花』が持ってるのは長袖のワンピース。そうだ、いつも帰ってきたら着替えるんだった。ずっと袴でいるのも窮屈だし、シミとかシワとかつかれたら嫌だからな。
「後で着替える…」
「今着替えた方がいいと思うけど」
パチッと音と共に、電気がつく。ゆっくり振り向くと、柘榴が若干呆れ顔で立っていた。
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作者名:Noir&arena x他1人 | 作者ホームページ:nothing
作成日時:2018年2月4日 20時