開いて、閉じて、落ちて (ページ7)

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「じゃあ、また明日な。」

私が家に入るまで見送ってくれる照に背を向けてがちゃりと扉を開ける。

「おかえりなさい」

キッチンからママが顔を覗かせる。

「ただいまぁ」

「ねぇ(茉凛)、今朝パパが言ってたこと考えてくれた？」

「…うん、」

「どうするか早めに連絡したいから、いきなり言われてすぐには答えだせないと思うけど、出来るだけ早めがいいなぁってママ思うなぁ」

「ママ、私おばさんのとこ行くよ。」

照には私に気兼ねなく頑張ってほしいし、近いのに会えないよりはずっといいし。

それに何より、叔母さんのいる土地は嫌いじゃない。

少しだけお嬢様になった気分でも味わってみようじゃないか。

そう思ったら少しずつ愉快な気持ちになってきた。

もちろん不安がないわけでもないけど、帰ってこれない距離でもない。

知らない土地に身を置いてみる。それもまたいいだろう。

ほんの少しだけ夏休みが楽しみになってきた。

私の渾身の一歩を踏み出すまで、あと何日だろう？

あとで数えてみよう。

心の中にはわくわくの火花が散り始めた。