開いて、閉じて、落ちて (ページ16)

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そう言って私を一人部屋に残して一人の時間を作ってくれる。

じっくりと部屋を見渡して、すぅ、と一息吸い込むと、胸いっぱいに入り込んでくるのは開いた窓から絶えず循環する、自然の香りを多分に含んだ空気。

たったそれだけのことなのに、なんだかひどく新鮮な気がして、今までどこか急いていた心が落ち着きを取り戻して減速していくのがわかる。

あ…私不安だったんだ…

そこではじめて気づいた自分の本心に苦笑するけど、それもなんだか私らしくて、思わず笑みがこぼれる。

「あら、茉凛ちゃんいい顔してるわね」

ひょっこりとドアから顔をのぞかせていた叔母さんに見つかってしまったのは少し恥ずかしいけれど、とても開放的な気分なのには変わりがなくて。

「叔母さん、私のこと誘ってくれてありがとう。」

「あら、なんのことかしら？」

本当は私のことを重圧に感じていて、ストレスに押しつぶされそうな両親に休息を与えるための手段だということを私は知っていた。

でも、そんなこと叔母さんはみじんも感じさせなかったし、いつもと変わらないその愛情が何よりも私のことを安心させた。