No rain,No rainbow【S.O】 (ページ3)

今日:5 hit、昨日:11 hit、合計:41,761 hit

episode１－２ページ3

・

「４組担任の的場瞳です。よろしくお願いしますね、大野先生」

「よろしくお願いします」

「私、クラス受け持つの初めてなんです。初々しくクラスを盛り上げていきましょうね」

「そうなんですか……そうですね、頑張っていきましょう」

わざとらしい高い声に淡々と返す。

的場先生は体のラインを強調するような服をいつも着ていて、男子生徒の憧れの的らしい。
俺は興味がないけれど。

副担任ならそんなにクラスに顔を出す必要性はないし、普段は２年の地理を教えてればいいから最低限のことはしておこうと思った。

だが、ここで面倒なことが起きた。

「君、絵が上手いんだってね」

どこで知ったのか美術教師の島田先生にこう声をかけられた。

「大野先生、どこの部活も担当してないよね？美術部の副顧問やってくれないかな？」

この人は副顧問という名の顧問を俺に押しつけるつもりだとすぐに感じた。
だが新人に拒否権は存在しない。
普段顔を出すだけで大事な所ではこの人に活動してもらおうと思った。

このように当時の俺は生徒に教えるという教師としての最低限の仕事のみをしようと考えていて、生徒と向き合う気はさらさらなかった。

そんなの面倒くさいと思ってたから。
今じゃ考えられないけどね。
前にそのことを翔ちゃんに言ったら分かりやすく驚かれたな。

・