No rain,No rainbow【S.O】 (ページ15)

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episode１－１４ページ15

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こうして２年半の交際はいとも簡単に破綻した。
以後色々な所から麻由子の噂を聞かされた。

あいつは恋愛体質らしく男を欠いたことが一度もないとか二股は当たり前とか耳に入れたくないことばかりだった。

大学卒業後、俺は教師となり、麻由子は大手企業に就職したと人伝で入ってきた。

その頃からだった。
ああして時々俺の目の前に現れて、復縁を迫るようになったのは。

俺には未練のみの字もないのに。
向こうの体質のせいで離れたくせに。

俺に付き纏ってくる理由が分からなかった。
だから怖さがある。

もし俺が誰か特定の人を作ったときに麻由子は何をしでかすか分からない。
だから誰とも恋愛する気になれないのだ。

もしものとき傷を負うのは一人でいいから。

ビールの缶を空ける。

憂鬱でしかない。
溜め息を出すと幸せが逃げるとよく聞くが、別に幸福でも不幸でもないから構わない。
それはいくらでも俺の口から出る。

窓から夜空を見上げる。
今日は三日月だ。

―――……集中力乱さない程度にお願いします……。

なぜだろう。
こういうときに黒木の顔が思い浮かんだのは。
一度しか見てない笑顔を思い出すのは。

俺はソファに頭を預け、目を閉じた。
何も考えたくない。

俺はまだキミの全てを知らない。
キミがなぜ絵を描き続けているのかとか何もかも―――。

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