prologue ページ1
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Wサクライカップルを見送って、Aとダイニングテーブルに向き合って話す。
「あのカップル好きだなあ。櫻井さんは夏音ちゃんにベタ惚れで、夏音ちゃんも櫻井さんのことが大好きで」
「うん。俺も」
「あの二人ならゴールしてからも幸せになれるよね」
「大丈夫だよ、翔ちゃんだからね」
俺の見込んだ男だから、ちゃんと夏音ちゃんと二人三脚で歩いていける。
最初見たときから思ってたんだよね、なんとなく。
こいつは俺と同じだって。
だから夏音ちゃんへの想いを貫いてほしいと思って背中を押した。
翔ちゃんは本当に良い人だから俺のお気に入り。
「夏音ちゃん本当に可愛かったなあ。目が大きくてまつ毛が長くて昔遊んでたお人形さんみたい。あんな子本当にいたんだなあ」
Aは自分の感性に合ったものを見ると口調が速くなる。昔からそうだ。
夏音ちゃんが気に入ったみたいだ。
夏音ちゃんはザ・姫って感じで可愛さは最上級。
こんな子が彼女なんだから独占欲が出ちゃうのもしょうがないか。
「櫻井さんと美男美女カップル。絵になるね」
「そうだね」
「夏音ちゃんの小説楽しみ」
こう穏やかに笑うキミと出会ったのは今から１１年前。
結婚したのは３年前。
そして今年キミとの間に我が子が誕生する。
ここまでの道のりは長かった。
本格的に幸せになるのに時間がかかった。
初めて出会ったときのAは笑顔から遠く、いつも寂しい瞳をしていた。
このとき俺は新米教師で、教師という仕事は天職とは思ってなかった。
キミに出会って教師という仕事に目覚めたと言ってもいい。
そしてキミの全てを知ったとき、壁を壊してでもキミを守りたいと思ったんだ。
これはそんな俺とキミの物語―――。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2017年2月24日 9時
