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もう今週秋の天皇賞が行われる週になった。
帰国してから2週、3ヶ月分を取り返すかのように勝てているが、残念ながら秋天は見学濃厚だ。
お手馬であったグリーンライトは岩村さんのため乗れない。
俺にはアカシがいるからだと思うけどシビアだ。
調教スタンドで記者さんたちの取材に応えているとこれまた取材に来ていたクレールと遭遇した。
彼は俺に向かって手を振った。
今日は秋天の出走馬が直前追い切りを行った。
だからマスコミが輪をかけて多い。
メンバーは宝塚記念からアカシ、ゴッドオブウイン、イエローマインを抜いてあとは全部出ていると言うと分かりやすいと思う。
とにかく強い馬たちが出てくるのだ。
クレールはその中のニューディアマンテに騎乗する。
ニューディアマンテはアカシ世代の菊花賞馬。
だが今春は思ったような成績を出していない。
お互い取材から解放されてクレールが俺に隣に座ってきた。
「カズナリ、おはよう」
「おはよう。ニューディアマンテどうなの？」
尋ねるとクレールはフフッと笑った。
「ニューディアマンテ、この春は折り合い大変だった。だからボク、藤川センセにお願いしてずっとニューディアマンテ乗ってる」
クレールの少し助詞がない日本語をうんうんと聞く。
彼はニューディアマンテを買っているのだろう。
だからこそ再起を目指して付きっきりで稽古をつけている。
「アカシとゴッドオブウインはアークで頑張った。だからニューディアマンテが頑張らないといけない」
「自信あるんだ？」
「もちろん」
クレールは快活な笑顔を浮かべた。
こりゃ相当かもしれないと感じた。
「デュアルセッションも自信あるヨ」
俺たちの座っているソファの後ろにミカルが立った。
デュアルセッションもまた秋天に参戦する。
「アカシとゴッドオブウインがいないならデュアルセッションの出番だよ」
「デュアルセッションはどうなの？」
今度はミカルがニコッと笑って。
「休み明けだけど大丈夫。去年も同じローテーションで勝ってるし」
「楽しみにしててネ」
「おう」
あとはハングアップオン、オペラテラス、ワンスアゲイン、シアトルヘイローと馴染みの馬たちが揃う。
俺はその中に入れないけどアカシのためにこの外国人二人に警戒心を強めた。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2021年3月24日 8時
