９ Side Satoshi ページ9
「じゃあ凱旋門賞皆さんお疲れ様ということで乾杯！」
「乾杯！」
酒で乾杯というわけにはいかないからコーヒーで乾杯をする。
「そういえばカズ武岡さんの番組出るんだっけ」
「そうそう。一緒に凱旋門を振り返るの。明日収録があるから京都行ってくる」
武岡さんの番組というのはCSのとあるチャンネルである番組で主に武岡さんが自分のレースを振り返るという内容でお送りしている。
ニノは何回か出ていてなかなか好評らしい。
「モテモテだね」
「まあね。仕事でもモテるならいくらでも」
「恋愛は太田ちゃん一筋だもんね」
「当たり前よ」
雑談をしていたら引き戸の開く音がして応接間に絵里が現れた。
「絵里」
「皆さんお揃いで。潤くん鞍と頭絡直したの持ってきたよ。助手さんに渡したから」
「ありがとう。絵里ちゃんも何か飲む？一通りあるよ」
「じゃあコーヒーお願いします」
「はいよ」
「絵里座りな。狭いけど」
「ありがとう」
翔くんの方に寄って絵里を座らせた。
すると4人からじっと見られる。
「ん？」
「いや、智くんがちゃんと彼氏してると思って……」
すると残りの3人が「うん」とハモった。
「絵里と付き合う前の大野さんひどかったもんな」
「俺的に一筋でびっくりなのはカズと大野さんなんだよな」
「絵里ちゃん大ちゃん優しい？」
「智は優しいよね？」
ねえと顔を見られても見れません、絵里さん。
「大野さん赤い」
「一途だねえ」
皆に注目されるのは慣れない。
「一途といえば、潤くん、美桜は俺について何か言ってた？」
「カズくんとアカシ惜しかったねとカズくんかっこ良かったと申しておりました」
松潤はニノが美桜ちゃんの話をすると不機嫌になる。
「へえ。美桜によろしく」
ニノはそれを分かってやるんだから意地が悪い。
これも一つのパッケージだ。
その後はコーヒーを飲みながら他愛のない話をゆっくりとしたムードの中でした。
「私そろそろ行かなきゃ」
「ごめんね。引き留めちゃって」
「ううん。楽しかった」
するとまた4人の視線を感じた。
だからやめて。
「俺も出るわ」
囃し立てられて立ち上がり、事務所を出る。
絵里はアハハッと笑った。
「智」
「ん？」
「楽しいね」
「……うん」
ふと俺は絵里と今後どうなっていくのだろうということが頭を過った。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2021年3月24日 8時
