６ Side Sho ページ6
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メインの表彰式へ向かう3人を見送る。
あっち側に行けなかったのは残念。
カズがハナを切って絶妙なペースを刻んでるのを見てやられたと思った。
それでも武岡さんは後方から脚を溜めて上手く伸ばしてくれたから文句はない。競馬だからね。
「櫻井くん」
検量室から武岡さんが出てきた。
あっ野々村さんもいると彼女を見る。
「惜しかったですね」
「惜しかった。伸びてくれたけど最後は勝ち馬と脚色が一緒になってしまった」
後ろのさつきちゃんはメモをしている。
武岡さんのコメントを会員に見せるためだ。
「今回は和也の勝ちやな。良いペースで逃げてた」
「ですね。俺もやられたと思いました」
「でもローリングデイズもまだまだやれるし上手くいけば勝てるよ」
「ありがとうございます」
その後も細かな話を伺う。
やっぱ一流は一流の話ができるなと感じた。
その途中で。
「野々村さん櫻井くんの横に来なよ」
「いえいえ私は今秘書ですから」
彼女に対して気を遣ってみせて無理強いはさせない。
この人の紳士然とした振る舞いは勉強になる。
「では私は馬主席に戻ります」
「うん。気を付けて」
ローリングデイズの話が終わるとさつきちゃんは戻っていった。
「……彼女真面目やね」
「本当はフィアンセとして隣に置きたいんですけどね。最初が代表と秘書でしたから……」
もうかれこれ6年こうして傍に置いてるから周りからは認知されてるだろうけど本人の意識は仕事の時は秘書のままだ。
結婚したら馬主夫人となる。
そうなるといつまでも秘書のままではと思わないわけではない。
でも彼女が仕事を好きなのも知ってるつもりだし。
「でも今後の彼女自身のことは彼女に任せます。相談されたら向き合います」
「せやね。こっちがとやかく言うのもね」
結局は彼女を尊重する。
だってこんな俺について来てくれるって言うんだから。
そんな話をしていたら地下馬道が少し騒がしくなった。音が反響する。
さっきの主役たちがお戻りだ。
武岡さんはゲッという顔をした。
「おやおや2着の陣営さん」
「お前な。俺これから京都に行けなアカンからお前に構うてる時間ないんや」
「そんなこと言わずに」
フランスで頑張ってた人達が変わらず日本でも頑張ってる。
俺はこの人たちとこれからもずっと頑張っていきたいなと思う。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2021年3月24日 8時
