４７ Side You ページ47
・
私は有馬記念の公開枠順抽選会に来ていた。ホテルの宴会場を貸し切っての会は毎回凄いなと思う。
17時スタートの会場に10分前には関係者がそれぞれのテーブルに着いた。アカシのテーブルには二宮先輩と櫻井さんしかいなかった。松本さんはまだいらっしゃらない。
「最近潤さん見た？」
「見てない。東京や中山でしか出走してないときでも相葉さんが臨場してるし」
「どうしたのかな」
松本さんのファンだろうかの声も聞こえた。確かにファンだったら気づくかもしれない。有馬の日は競馬場に行くというが少し心配だ。
そんなことに思いを巡らせていたら抽選会が始まった。出走馬の関係者の名前が呼ばれていく。やっぱり贔屓で見たらアカシのテーブルのオーラは2人でも十分すぎるぐらいだし、ゴッドオブウインのテーブルは武岡さんが凄まじい。
出走馬はフルゲートの16頭。強豪が揃って名前だけでワクワクする。
有力馬の中で最初に呼ばれたのはデュアルセッションだった。ミカルさんがくじを引く。彼が引いたのは5枠9番だった。これにはミカルさんちょっと渋い顔。
「もうちょっと内が欲しかったネ。でも最後なのでガンバリマス」
次はイエローマイン。田渕さんは8枠15番を引いて悔しそうな顔。
「俺外枠引くこと多いですよ。でもまあここから頑張ります」
ニューディアマンテはクレールさんが引き2枠4番となった。これにはクレールさんも笑顔。
「欲しかったトコロ。作戦はこれから考えます」
その次はオペラテラスの福沢さん。3枠6番と良いところを引いてガッツポーズした。
「俺くじ運良いんですよ。本番がより楽しみになりました」
そしてアカシの名が呼ばれた。二宮先輩が壇上に向かう。先輩が引いた紙には12と書いてあった。
「出来れば去年と同じところ引きたかったんですけどね。まあ決まったところで競馬するだけです」
悔しそうにしながらも気丈に話していた。
一番盛り上がったのは武岡さんが引いたときだった。紙には1番と書かれていた。逃げるであろうゴッドオブウインが1番を引いたことによって武岡さんの神引きっぷりが強調された。
「レースはまだですから。もちろん1枠1番1着を狙いますよ」
そう言ってスマイルを浮かべた。
続いてブレスアンビションは4枠8番、ハングアップオンは7枠13番に決まった。
こうして枠順が決定する。枠順を眺めながら私はどういう展開になるのかワクワクした。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユタカ | 作成日時：2021年3月24日 8時
