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俺はチャンピオンズCに乗るため中京競馬場に来ていた。
G1があるとあの人と話せるので今の俺にはありがたいことだった。
中山から中京に行くとあの人は俺を待っていたかのように調整ルームの入口にいた。
「お前は俺のストーカーか？」
「たまたまっすよ、たまたま」
一緒に中に入る。
「なんかまだしけた顔したるな。松本くんは退院したんやろ」
「まあ……。でも守らせてもらえないじゃあんまりできることないですよ」
「やんわりと拒否されたってわけか」
フフンと笑われた。
何でお見通しなんだろう。
「俺が彼だったらちょっと考えるな。周りの人の気持ちがありがたいんだけど重たく感じてしまって遠ざけてしまうって」
「俺もそういう感情になったことがありますけどね」
「アカシの皐月賞の後か」
意地悪そうに笑うんだからまったく。
「それでお前がダービー勝ったのがAちゃんのおかげってことか。ダービー勝つから見てろよなんて言ったんだってな。Aちゃんが教えてくれたで」
「あの取材で？」
「そう、あの取材で」
Aの奴覚えてろなんて思いつつ。
「となると若葉と美桜か……」
あの二人に会ってないな。
暇を見つけて会ってみるか。
「でもそこも拒否してるんじゃないの？」
「ご名答。ちょっと二人に会ってみますわ」
自分に出来ることをこうして模索していくしかないんだよね。
「そうそう。入れ替わるように今度は相葉さんが体調崩しちゃって。3日ぐらい寝込むような」
「それはお大事にって言っておいて。あとの四人は平気か？」
「俺を始めあとはピンピンしてますよ、今のところは。騎手は風邪引きませんし」
「せやけど怪我って可能性もあるで」
その言葉は後々違うところで活きてくる。
「気をつけるべきところは気を付けます」
「それにしてもそんなんで大丈夫か？色々」
「俺もそう思います」
俺は溜め息を零した。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2021年3月24日 8時
