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潤くんにやんわりと拒否られた気がして大野さんと一緒に事務所を出る。
「歯がゆいよ、大野さん」
「そうだね」
潤くんの胃を痛めさせたのは疲れとストレスだ。
だから潤くんを守りたくてこれまでも、今もそうしてきた。
だけどあんなにやんわりと拒否られると上手く言葉が出なくなる。
大野さんと別れ、家に帰る。
リビングでAは原稿を打っていた。
「……ただいま」
「おかえりなさい。松本さんどうでした？」
「さすがに痩せてたけど顔色は良かったよ」
「そうでしたか」
手洗いとうがいをして、Aの向かいで突っ伏した。
「先輩？」
「A……。守りたいと思う相手からやんわりと拒否られるってしんどいね」
「松本さんに拒否されたんですか？」
「一人で平気って言われた。俺たちだけじゃなくて若葉と美桜も今は傍に置きたくないって感じだった」
「それは……滅入りますね」
「そうなんだよ」
潤くんと出会ったときから俺が彼を守ってきたという自負はただの自惚れだったんだろうか。
「実際できること少ねえしな」
「でもそれは怠れないですしね」
「そうなのよ」
事実できることは少ない。
潤くんの意志に反することはしたくない。
だから糸口が見えなかった。
そのままAの向かいで俺も競馬の勉強をしていたら大野さんからラインが来た。
「……相葉さんが高熱を出した？」
思わず声に出た。
「えっ？」
「アカシが帰ってきたばかりなのにな」
「……松本さんも相葉さんも疲れてるんですよ」
「そうかもな」
「先輩も無理はなさらず」
「騎手は風邪引かないから」
なんだか先が思いやられた。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2021年3月24日 8時
