To the Legend【ars】 (ページ35)

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３５　Side Jun ページ35

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退院して俺は厩舎に戻ってきた。
戻ると相葉くん始めスタッフが待っててくれた。

「おかえり松潤」

相葉くんはいくらするんだろうという花束を俺に渡してきた。

「ありがとう」

退院は出来たけどまだ完全ではないし食事だって自由に出来ないからしばらくはここにずっといようと考えている。

あのとき以来の事務所の戸を開けると大野さんとカズが待っていた。

「潤くんおかえり」

「おかえり」

「ただいま」

「これ翔ちゃんからね」

これまた大きな花束だった。

いつもの席に座る。
いつもの景色が新鮮に映る。

「しばらく美浦にいる？」

「うん。明らか原因はストレスで、心も弱ってるみたいだからここで出来ることをする」

「一人で平気？何なら若葉と美桜も呼んじゃって……」

「大丈夫だよ」

カズは他に何か言いたそうだったけど言葉を挟んだ。

「誰かがいたら気を揉むだけだから。俺自炊もできるし平気」

「潤くんがそう言うなら……」

入院している間、若葉も美桜ちゃんも来てくれた。
感謝は当然あるけど申し訳なさが先に立った。

若葉の気持ちは痛いほど伝わる。
でもそれが今の俺には少し重たかった。

人は誰かの手がなくちゃ立てない。
だけど今この空間だけはどうしても一人でいたかった。

だからごめんね、皆。

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