２５ Side Satoshi ページ25
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またガラリと音がしたと思って振り向いたら絵里だった。
「絵里」
「あれ……潤くんは？」
「ごめんね、絵里ちゃん。松潤、胃潰瘍で入院しちゃって」
「えっそうなの。じゃあ雅紀くんに新しいハミ渡しとくね」
「ありがとう」
絵里は相葉ちゃんに箱を渡した。
「皆さん大丈夫じゃ……ないですよね」
「うん、じゃない」
ニノが答えた。
そう、皆動揺を隠せない。
「瑠未は？」
「今松潤の所にいる」
「翔ちゃんには伝わってるよね？」
「うん。ライン送ったら電話が来たから」
「あとは相葉さん無理すんなよ。実質厩舎を引っ張る立場でも」
「うん」
とりあえずピンチは皆で乗り切ろうということで解散となった。
相葉ちゃんはスタッフと話すため大仲へ。
ニノと若葉は病院へ。
俺は絵里と一緒に坂下馬具へ向かうことにした。
絵里が乗ってきた車に乗る。
「潤くんが……」
「絵里も生まれたときからここにいるから松潤のレッテル分かるだろ？」
「知ってるけどそれで潤くんを苦しめるのはよく分からない」
「絵里は松潤がこっちに来たとき生まれてなかったもんな。でも当時を知る人間は余裕でこの世界にいるからね……」
残念ながらこの世界は不条理だ。
「皆、凱旋門賞で大変だったから疲れてるんだよ。潤くんの場合それが胃に出ちゃった」
だから智も気を付けてねと言って絵里は微笑んだ。
分かり切ってたことだけど、いつまでも俺の後ろをついて歩いてた絵里じゃなくてちゃんと大人になっている。
さっきからの絵里はことさらにそう感じた。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2021年3月24日 8時
