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11月10日(日)第5回京都競馬4日目 9R 黄菊賞(2歳1勝クラス 芝2000メートル)
やっとG1に乗れると思った。
俺はエリザベス女王杯に乗るために昨日東京から京都に来た。
といっても有力馬というわけじゃない。その日京都にいても勝てないかもしれない。
でも俺はG1に出たかったからエージェントから連絡をもらったときに承諾した。
G1の日だから騎手がいつもよりいるので乗鞍を心配したが5鞍ならまあ良しだろう。
ジョッキールームに入ると主に聞こえるのは関西弁。
正直こっちの方が居心地良い。事実交流があるのは西の人たちが多いし。
関西の騎手は新年会や旅行もするっていうから和が良いんだろうね。
適当に座って新聞を見ていたらスッと俺に近付く影。
「アカシ以外で西に来るのは珍しいな」
「今までは来たくても乗れなかったんです」
「お前のその心意気は買うで。自分は大舞台にいるべきだという意識は大事」
その人は俺の隣に座った。
「武岡さんはG1に出る方ですよね」
「そりゃ乗鞍とか勝ち星を考えたら所謂G1の裏にいた方が良いかもしれないけど、俺は依頼さえあればG1のあるところにいたいね」
一方で良い馬に沢山乗るために積極的に裏に行く人もいる。それを否定したいわけじゃない。
メソッドは人それぞれだ。
「謙太もそっちタイプやな」
目の前を池山さんが通った。
池山さんは俺の左隣に座った。
「そうですね。乗れるならG1で乗りたいです」
「やっぱそうですよね」
俺は9レースの出馬表を開いた。
9Rは黄菊賞という2歳戦。俺はマスカレードという馬に騎乗する。8頭立ての少頭数。
俺の両隣の二人も一緒に乗る。あと乗るのはクレール、ミカル、川崎、福沢さんなどだ。
「混戦やな、このレース」
「確かに」
マスカレードはテン乗りだ。関東馬。
新馬戦を勝利後、前走は芙蓉Sを3着した。
今回俺が関西に行くというのもあって依頼してくれたのだろう。
「武岡さんが乗るのはダスクライト。前走未勝利勝ちですか。池山さんはエアオーベルング、札幌2歳4着」
あとは良血馬や素質馬が出走していて骨っぽい。
「この馬前走なかなかの勝ち方してるから楽しみにしてる」
「右に同じく。前走は上手く乗れなかったから今度こそって思ってる」
へえと思いながら新聞を読んで、データを叩き込む。
9レースのパドックの時間となった。
マスカレードに初めて跨る。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2021年3月24日 8時
