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ゲートが開いてハナに立ったのはやはりシアトルへイローだった。良いペースで引っ張っていく。
3番手にオペラテラスがついた。この馬だって去年の秋天で上位に来ている。
好位の内には武岡さんのアカツキがいた。2枠という内枠をゲットできたしインを回ろうという作戦か。
中団の内にハングアップオン。池山さんは脚を溜めている。その隣にグリーンライト。この馬も同様だろう。
その右斜め後ろにニューディアマンテがいた。クレールとの折り合いはバッチリついている。多少ロスがあるだろうが差せる距離にいる。
それをマークするかのようにデュアルセッションは後方に控えていた。怖いのは爆発力のある末脚。同じくらいの位置にワンスアゲインがいる。
1000メートルを通過する。59秒台でシアトルへイローが駆け抜けていく。それだけ見たらややペースが速い。これからどうなるのか。
3コーナーから4コーナーにかけてレースが動いていく。オペラテラスが先頭との間を徐々に詰めていく。そこを起点に各馬も直線での戦い方を決めていく。
カメラは4コーナーを映し出した。各馬が進出していく。一番外に映ったのはニューディアマンテ、それに続くデュアルセッション。そして勝負は直線へ。
オペラテラスが先頭に立つ。それを各馬が追っかけていく。アカツキ、ハングアップオン、グリーンライトも追っていく。
しかし俺の目には強烈な末脚を見せるニューディアマンテとデュアルセッションが映る。
残り1ハロンで2頭のマッチレースとなった。そして真っ先にゴール板に入ったのはニューディアマンテだった。着差はクビ差ほどか。
カメラはガッツポーズをするクレールにズームアップする。
「強くない？ニューディアマンテ。あんな脚持ってたっけ」
「人間の記憶って上書き保存だな。春は伸びあぐねてばかりだったから忘れてた」
クレールの自信度を見て注目はしてたけど唖然と見てしまった。
そう、ニューディアマンテはアカシと互角に渡り合ってた馬。本来の力を出せればなんてことはない。
「イエローマインも力ある馬なんだけど敵が出てくるわ出てくるわ」
「こっちだってウカウカはできねえわ」
凱旋門賞2着で帰ってきて健闘したみたいな雰囲気に飲まれてたけど、やっぱ2着じゃ駄目だ。満足なんて出来ない。アカシならもっとやれる。あとは帰国後の状態だ。
だんだんと賑やかに戻っていくジョッキールームで俺は拳を握った。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2021年3月24日 8時
