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G1のときは色々なジョッキーがあるからジョッキールームは賑やかだ。
でも10レースが終わり各々がパドックへ出ていくと寂しいものになる。
10レースの騎乗が終わった俺はジョッキールームのソファに座り新聞を広げた。
すると田渕も座ってきた。
田渕の相棒、イエローマインはオールカマーを快勝後ジャパンカップに向かうと発表された。
だから田渕も秋天は見学だ。
こいつと話しながら見ることにしよう。
近くのテレビではパドックの模様が流れていた。
「田渕は何が勝つと思うよ」
「デュアルセッション」
「即答だな」
「イエローマインの鞍上として考えたら、あとの面子は倒せる気がしてる。でもデュアルセッションは倒せない気がしてる」
「2冠馬だしな」
デュアルセッションはアカシたちの前の世代の2冠馬、他には宝塚記念と天皇賞(秋)を制している。
「アカシの鞍上は全部倒したことあるもんな」
「まあね。まあアカシの鞍上としてはニューディアマンテに頑張って欲しいかな」
「へえ意外」
「そう？」
丁度ニューディアマンテのパドック映像がテレビで流れた。
「クレールの意気込み聞いちゃったらね。リーディングジョッキーで忙しいはずなのに1頭の馬に時間をかけるなんて」
「ダービーの時のお前みたいだな」
「そう。そう思ったんだよ。俺もあのときは絶対勝ちたくてアカシに乗れるときには乗ったんだよ」
ジョッキーをやっていれば1頭2頭思い入れが強い馬が出てくる。
そんな馬が現れたらその馬を中心に動きたくなる。
だからクレールにとってニューディアマンテは思い入れの深い馬なのに違いない。
「他は？」
「うーんハングアップオン。JCでデュアルセッションを倒したように力はある」
「俺はワンスアゲイン。どこかでやってくれる気がして」
「川崎だしなあ」
同期でテレビを見ながら話し合う。
競馬学校時代からこいつとは馬が合って競馬を見ながらあーでもないこーでもないと言っていた。
「昔からこうして競馬見てたな」
「……和也年取ったな」
「お前もな」
「まあ一番なのは見られる側にいることなんだけど」
「それね」
残念ながら俺は常にあっち側にいるジョッキーではない。
勝ってアピールしてるはずなんだけどね。
田渕とグダグダウダウダと話していたらレースがスタートした。
ファンファーレがジョッキールームに鳴り響いていた。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2021年3月24日 8時
