１４ Side You ページ14
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今日は秋の天皇賞で朝から賑わっている。
朝から検量室前にいてレースを終えては取材をしての繰り返しだ。
「馬場はどうですか？」
アカツキに騎乗する武岡さんに訊いてみた。
「雨降ってる時に使ったりしてたけど綺麗だから時計も出る。天皇賞良い時計になるんじゃない？」
「時計勝負になればどうですか？」
「それはゲートが開いてみなくちゃ」
まあ人の目があるところで狙ってるとか無理とか言わないよなと思っていると本日の1，2番人気の二人が横を通ろうとしていたので、呼び掛けるとお二人は止まってくれた。
「お二人は乗っていて今日の馬場はどう感じました？」
「内が良いネ」
「時計が速くて前が止まらなさそう」
「そうだ、Aちゃんニューディアマンテ本命デスネ」
「はい。アカシとゴッドオブウインがいないならこの馬に頑張ってほしいので」
「アリガトウ」
「デュアルセッションも忘れないでネ」
「もちろん」
「俺は？」
「すみません、アカツキは印が……」
3人ともトップジョッキーなのにお高く止まってなくて気持ち良くお話を聴くことができる。
楽しく話していたら。
「A」
「出ためんどくさい彼氏」
二宮先輩がやって来た。
それにしても武岡さんのツッコミ。
「めんどくさいないでしょ。俺は彼氏として」
「カズナリ、ジェントルマンじゃないネ」
「怒らないで」
「ほら帰った帰った」
二宮先輩は3人を押していく。
「お前も大変ね」
そこにスッと川崎くんもやって来た。
「事実めんどくさいと思わない？和也さん」
「特別そう思わないよ」
基本は先輩と私はあまり変わってないんじゃないかなと思う。
私が実習で知り合ってから先輩は私を気にかけてくれて私はその後をついて行って。
それに恋愛の色が加わっただけだと思う。
だからめんどくさいだなんて思わない。
「和也さんが和也さんならAもAだわ」
川崎って呼ぶ先輩の声が聞こえた気がするけど川崎くんは無視している。
「まあいっか。お前が楽しそうなら。……ワンスアゲインは十分チャンスあると思ってる」
最後にサラッと言って川崎くんは検量室に戻っていった。
こんな感じでジョッキーの皆さんと交流している。
大して何も得ていない？でもこうして交流していけば何かは得られる。
軽そうな言葉の中に皆さん勝利を狙ってる。
それが分かるだけでも十分だ。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2021年3月24日 8時
