・ ページ48
・
Aちゃんと同じようなことを和也にも言われる。
俺ってそういうふうに見える？
そりゃ和也たちよりは長く生きてる、長く色々なことを経験してる。
それは酸いも甘いも、良いことも悪いことも……。
だからといって自分が闇深いとは思わない。
「誰もあなたのことを光だけとは思ってません。というかそれじゃつまらない。影に惹かれてるんですよ。俺もただの憧れであなたといるわけじゃない。そういったことを理解してるつもりですよ。ただの偶像崇拝でここまで一緒にいないでしょ」
「……俺、口説かれてる？」
「ふざけないで下さい」
ありがたいと思ってるよ。
そうやって気遣ってくれてるのは感じてるから。
俺だって二宮さんの息子だからって理由だけでこいつに絡んでるわけじゃない。
「これからもあなたに絡んでいくし場合によっては弄りますしおふざけもしますので悪しからず」
「望むところや」
まあ俺がそういうふうに見えてるのは致し方ないとしてこれからもこいつと、彼らと楽しくやっていければいいなと思う。
「あっここらで降ろしてもらえます？」
ほらね。
ハザードランプを出して車を止める。
「じゃあね武岡さん」
「またな」
和也が降りていって一人となった車内。
前を見据えながら回顧していた自分を俯瞰的に見る。
過去の自分の記憶を覗く作業は時に傷や影を見ることに繋がる。
でもそれはそれ。
大事なのはそんな過去を積み上げた現在。
俺はまだ走り続ける。
そしてあいつらには負けへん。
もっと上手くなりたい、もっと勝ちたい。
望むのはそれだけ―――。
END
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユタカ | 作成日時：2020年7月16日 10時
