とある人の視点５ ページ39
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再び俺は美浦トレセンにやって来た。
人が少ない美浦トレセンの前まで着くと和也が助手席に乗ってきた。
「Aが待ってるかと思ったでしょ」
「正直。何で和也やねん」
「最近Aと親密度上がってるんじゃないんですか」
そこ右ですと指図される。
そりゃ長時間話せばそれなりにそうなるでしょ。
「……お前めんどくさい」
「武岡さんでも侮れませんからね」
「アホ。めんどくさい男は嫌われるで。君ら5人の中で和也が一番めんどくさいんやない？」
「いやいや翔ちゃんや大野さんの方が……」
珍しく口から生まれた男が途中で言葉が止まった。
嫌われるで、がじわじわきたらしい。
「まあAちゃん鋭いようで鈍いし、鈍いようで鋭いから分からんけど」
「……武岡さんってアメとムチの使い手？ドＳ？」
「意味分からん」
こいつと話しているとホンマ調子狂う。
そんなこんなで話しながら運転したら松本厩舎に到着した。
車を降りて、勝手知ったるという感じで和也が引き戸を開ける。
「武岡さん連れて来ましたー」
中に入るとギャラリーが見えた。
Aちゃんに相葉くんだった。
「松本くんは？」
「潤くんは放牧に出してる馬たちの様子を見に行ってる。ちなみに翔ちゃんも大野さんも誘ったけど、翔ちゃんは北海道行ってて大野さんも装蹄の仕事で来られませんでした」
「どんだけ私の話を聴きたいんですか？」
Aちゃんはげんなりしている。
ごめんね。
「どうぞどうぞ。いつも松潤が座ってる所にお座り下さい」
相葉くんにそう言われたので俺は一人掛けのソファに腰かけた。
こないだは今相葉くんが座っているところだった。
この応接間は長方形のテーブルをコの字で囲むようにしてソファが配置されている。
「皆いつも座ってるところが決まってるんだね」
「そうです。今太田ちゃんが座っているところはいつも翔ちゃんでその隣が大ちゃんになってます」
「へえ。それでここでミーティングしてるってわけか」
斜め前の相葉くんは緊張してそうな顔。
俺と和也で解してやろうか。
「相葉くん緊張してるでしょ」
「そうだね、借りた猫みたいに大人しくなっちゃって。相葉さんは犬でしょ」
和也は予想通り乗ってきた。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2020年7月16日 10時
