To the World３【ars】 (ページ35)

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「カズナリはフランスで活躍してるみたいネ」

「ですね」

「弟のクレートから聞いたけど、カズナリは天才的だって言ってた」

カズは昔から馬乗りが天才的だった。
一緒に乗馬をしてたけど天賦のものがその頃から違ってた。

騎乗合図がかかりミカルさんと一緒にサマースプラッシュの元へ行く。彼の補助をして、ミカルさんが乗る。
ミカルさんはサマースプラッシュのタテガミを撫でて相葉くんとニコニコと話している。

俺はそんな様子を見守って調教師席に上がる。
暑くてシャツが汗でまとわりつくので気休めにパタパタとさせる。

レースまでの合間スマホを見てフランスギャロのページを開く。
今日のカズの騎乗予定を調べる。3鞍だ。
小谷先生以外の馬もいる。

俺はカズの騎乗レースを詳しく見ると同じレースに武岡さんを発見した。この馬も小谷厩舎だ。
武岡さんは昨日イギリスのシャーガーCに招待されていたのでそのついでにフランスでも乗るということだろう。
二人の対決が楽しみだ。

などと思っていたらレースの発走時刻が迫っていた。
1400メートルのスタート地点を双眼鏡で見る。スターターが台に上がる。
ゲート入りする。スタートした。

ゲートは苦手な傾向があるミカルさんだがちゃんと出てくれた。
18頭立てのレース。1400メートルは内回りだから外回りに比べたら直線は短い。
7枠14番のサマースプラッシュとミカルさんが勝つために必要なのは全部スムーズにいくことだろう。

サマースプラッシュは中団の外めにいた。
ミカルさんとも折り合っている。

ミカルさんの持ち味は何かと考えると勝負強さ、勝ちたいという貪欲さが挙げられるだろう。
カズとはまた違う輝くものがある。
だからこそ日本で短期免許で乗ってた頃から大レースを制してきた。

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