１１５ Side Sho ページ31
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「僕の実の母親はどんな方なんですか？」
「俺が社長になってすぐに馬主も始めてそのときにお世話になった牧場の娘さんだった」
「今どうされているか分かりますか？」
「いや……。母さんにバレて以来会うことも出来なかったしその牧場は倒産してしまって」
「そうですか」
今更どうしようもできないが消息を知れればと思っていたのだが。
でも今でも競馬を見ていたらどこかで俺を発見したりしてくれるかなと思ったりする。
「すまない。お前が生まれてからずっと黙ってて」
「いいんです。ずっと疑問には思ってて」
「そうだったのか。……確かに翔はあの人に似ている」
そう言って目を細める親父には既視感があった。好きな女といるときのあいつらだ。
おそらく親父が心から愛した女性だったのではと推察できる。
自分の妻もそれなりに愛してはいるのだろうが、やはりそこにはどうしても家やスペックが優先された結婚なのだろうから。
そう思うとなんだか優しくなれる気がした。
自分もそういう人がいるから。
「翔。……ここを出ていく気か？」
「えっ？」
「まあ俺はお前にそうさせることをしているから……」
「出て行かないよ」
他人行儀を外すのはいつぶりなのだろうか。
分からないぐらい俺はずっと肉親に対し他人行儀だった。
今度は親父がえっ？と言った。
「誘いは実際にあったけど断った。その誘われた計画が未熟というのもあるけどこの櫻井RHが好きだから。俺が今こうして好きな競馬の仕事が出来ているのもここがあるから。だから離れないよ」
「いいのか？ここにいてもお前が見つけた馬を全部お前の馬には出来ないぞ」
「もちろん俺の夢はカズたちと勝つことだけどそれを叶えるにはまずRHをビジネスとして成功させないといけない。そのためには会員の方の目を引くようなラインナップを用意させとく必要がある。だから俺にとってここは必要なんだよ」
自分の思いを真っ直ぐ伝える。
他人行儀だったのは本音で向き合うのが怖かったからだと気付く。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2020年4月22日 9時
