８５ Side Masaki ページ1
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アカシとニノが宝塚を勝った翌日、ニノは渡仏した。
そしてその2日後の水曜日のこと。
俺はグーグルを頼りにホワイトボードにPrix de I'arc de triompheと書いた。
凱旋門賞のフランス語訳だ。
「二宮先輩おはようございます」
「繋がった？ニノおはよう」
「そっちはこんにちはか。……朝から相葉さんとAのアホ面」
「私はアホ面じゃないです」
「俺もアホ面じゃないよ」
日本は今正午過ぎ。フランスとの時差は7時間なので午前5時過ぎということになる。
テレビ電話は便利だな。
今日はフランスからニノ、そして太田ちゃんを交えてのミーティングだ。
「じゃあ始めるか」
そう言って翔ちゃんは行程表を出してきた。
今日から凱旋門本番までの日付が横に並んでいて、縦には俺たちの名前欄が六つ並んでいた。
「カズにはデータをコピーして送ったと思うけど届いてる？」
「届いてるよ」
「プリントアウトしたのは分かりやすく説明するためにあるから好き勝手に使って。これをスマホで皆で共有して書き込めるようにしたいなと思ってる。……雅紀と智くん分かる？」
「…………」
「後で教えて」
大ちゃんも無言だから分かんないんだと思う。
「OK。じゃあ本題に入ろう。アカシの凱旋門賞挑戦を決めました。8月下旬に渡仏させたいと思う」
「なので相葉くんも担当として同行する」
「頼むな雅紀」
「うん」
アカシがフランスにいる限り俺もフランスにいる。
スケジュール表に矢印を書く。
「フランスに慣れさせるために凱旋門の前に前哨戦を使いたいと思う」
「フォワ賞だね」
それはすでに紙に書かれていた。
「そう。色々考えたらこれがベストだと思う。中2週というローテーションは初めてだけど使い詰めで悪いということはないと思ってる」
日本の馬場とフランスの馬場は質が違う。いくらアカシといえど一回走らせる必要はあるだろう。フォワ賞はあくまで前哨戦なので中2週でも問題はないだろうし調整はできるはずだ。
「行っている間も装蹄の必要がある。ということで智くんにも同行してもらう予定です」
「どうも」
大ちゃんも一緒にフランスか。実際はこっちやあっちで行ったり来たりだろうけど。
日本には大ちゃんを贔屓してる人がいっぱいいるから。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2020年4月22日 9時
