８１ Side You ページ40
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アカシがいるところに私はいるので阪神競馬場にいる。
だから色々な方があーいるねという感じで私を認識しているのだ。
「お前はアカシが好きだね」
同期の中で一番活躍している川崎くんもそうだった。
「記事見たら分かる。すっかり専属ライターだ」
「ワンスアゲインも好きだよ」
「それはどうも。そういえば4歳世代に着目した記事書いてたね。確かにワンスアゲインは高速馬場向きではあるけど一発狙ってるよ」
ギラギラと川崎くんは目を輝かした。
「おったおったAちゃん」
こう私に声をかけたのは武岡さん。
ならばと訊いてみよう。
「馬場状態は乗ってみていかがですか？」
「一昨日雨が降ったでしょ。それで馬場は重たくなってる。痛みも4コーナーにある」
「ゴッドオブウインにはどうでしょう」
こう質問するとスマイルを繰り出された。
「それはAちゃんも分かってるやろ？」
そう分かってる。ゴッドオブウインは馬場の注文がない馬だ。
でもそれはアカシにも言える。
パドックを万遍なく見ているつもりでもゴッドオブウインの良さを感じ取る。
元から良い馬だが今年になってからもっと良くなった。
それでもアカシが一番だ。堂々と歩いていてかっこいい。
自分の感覚は間違ってなかったと思いたい。
控室から二宮先輩が出て来る。いつもの先輩。
松本さんと櫻井さんと話されている。
騎手だったとき緊張していた私に対し実に飄々としていた先輩。
緊張を楽しめるからこそ二宮先輩は一流なのだ。
他の馬も強い。
しかしアカシなら、アカシだからこそ。
先輩がアカシに乗るのも見送って私は記者席へ。
見守る先にある結末は望んだものか否か。
さあレースだ。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2020年1月22日 9時
